(※写真はイメージです/PIXTA)

お客に愛される商品やサービスをつくるには「誰に、何を売るか」を絞り込むことが重要です。そのときに役立つ手法が「STP分析」です。STP分析を活用するときのポイントや注意点などを、著書『事業計画書の作り方100の法則』(日本能率協会マネジメントセンター)で解説します。

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新規事業は、STPで顧客のニーズを明確化

マーケティングでは、以下の4つの問いに答えられるようにマーケティング要素を具体化する必要があると言われています。

 

1.売れるか、2.作れるか、3.勝てるか、4.儲かるか。これら4つの問いにすべてYesと答えられれば、売れる可能性が高いということになります。この項では1.売れるかについてみていきます。

 

まず、売れるかどうかは、顧客ニーズに合ったものかが重要なのでSTPで具体化します。STPというのは、Segmentation、Targeting、 Positioningの頭文字を取ったものです。それぞれについて見てみます。

 

(1)顧客セグメンテーション(Segmentation)

 

ユーザー像を明確にするために行うのがセグメンテーションです。セグメンテーションというのは、市場(マーケット)を切る切り口のことを指します。

 

その切り口には、地域区分によるもの(これをジオグラフィック・セグメンテーションといいます)や職業、年齢、世帯構成、性別、年収等人口動態的に捉えられるもの(デモグラフィック)と、エコ重視、都会派など心理的な属性に基づくもの(サイコグラフィック)とブランド志向やロイヤリティ、価格や販促に対する反応に基づくもの(ビヘイビアル)等いくつかのものがあり、その新商品・サービスに合った切り口を選ぶ必要があります。

 

また、B2Bビジネスの場合は、業種や企業規模、立地特性、購買方針、業務特性等の変数を利用します。

 

例えば、植物工場で作った野菜をレストランチェーンに供給するようなケースでは、そのチェーンの展開地域、提供メニュー、価格帯、購買方針等が影響を与えるでしょう。

 

(2)顧客のターゲティング(Targeting)

 

セグメンテーションで市場を切り分けることができたら、次はターゲット顧客を定めることです。ターゲット顧客を定義する際に重要になるのが、以下の4つのRで示されるポイントです。

 

・Realistic Scale(規模の有効性)……ビジネスは利益を出すためにある程度以上の売上が必要です。また成長していくためにも一定以上の市場規模が必要です。たまに、いい商品なのですが、特殊過ぎて購買層が少なすぎるというケースがあります。

 

・Rank(優先順位)……顧客層を広げていく際に、順序付けを行う必要があり、その順序付けに使えることです。最初のターゲット層、次の層はどこかということです。

 

・Reach(到達可能性)……マーケティング活動を行う上で、ターゲット顧客にリーチ(到達)できなければ売れません。たとえTVCMで商品・サービスを知ってもらうことができても、そのお客様が購入できるような場所に置いていなければ売れません。

 

よくターゲット顧客を定義はするものの、「そのお客様にどうやってアプローチするのか?」と尋ねられて絶句する人がいます。

 

・Response(反応)……マーケティング活動を行う際に、顧客の反応が捉えられるようになっている必要があります。

 

次ページお客の真のニーズはどのように掴めばいいか

※本連載は、井口嘉則氏の著書『事業計画書の作り方100の法則』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋・再編集したものです。

事業計画書の作り方100の法則

事業計画書の作り方100の法則

井口 嘉則

日本能率協会マネジメントセンター

経営環境が激変する最悪シナリオを乗り切る「事業計画書」の立て方・作り方とは? 「ビジョン・戦略立案フレームワーク」で何を/どの段階で行うかがわかる“これからの”実践教科書。 コロナ禍にあっても、事業計画の立…

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