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「診療所」の事例からの学び
(1)事例におけるユニークな視点
■複合型による総合的な診療体制
第1に、診療所における『複合型による総合的な診療体制』は、地域に密着している診療所が、かかりつけ医として患者の信頼に応えるための重要な仕組みと言える。患者は、病気に対する問題の解決を何よりも望んでおり、実際に患者自身が感じる良好な結果を求められる。
したがって、医師の診断能力や医師をはじめとするスタッフの治療スキルの高さは不可欠である。また、総合的に治療をサポートする仕組みを患者に認識してもらい、安心してもらえる診療体制の構築と提示が必要である。いまや単科の診療所では、複数の慢性疾患を抱えた患者を総合的に診ることは難しい。
例えば、実証研究の結果では、整形外科疾患の場合、患者満足は継続受診に影響を与えていなかった。その原因として考えられることは、整形外科の診療所では他の内部疾患に関する早期発見や治療は難しいのではないかと患者が思うところに起因する。そのため、単科の場合、日常的な医療管理は可能であることや専門以外の治療に対しても、近隣の医療機関との連携により、総合的にサポートできることを示す必要がある。
複合型により総合的に患者をサポートし治療を提供することは、患者のインサイトを考慮し要望に応えるための有効な策である。
■高い専門性
第2に、診療所においても『専門性』を高め専門医を継続保持することは、信頼を高める手段となる。医師をはじめスタッフが知識と治療の技術を高め続けることは当然である。学びには様々な方法があり、学会参加だけがその手段ではない。もちろん、専門医の保持だけが専門性を高めるとは言い切れない。
しかし、専門医を保持することは患者が医師の知識と技術を信頼するためのわかりやすい方法であり、安心を生んでいる。ただし、患者がその専門性を実感できなければ、医師の専門性への期待が実際と伴わず、期待不一致により患者は他の医療機関に移ってしまう。
患者の主観的な治療結果は、患者のクチコミで伝わる。患者への針刺し1つが評判につながる。医師はもちろん、薬剤師、看護師、検査技師、放射線技師、リハビリテーションなど医療専門職は、知識と技術の向上を止めてはいけない。
(2)集患効率を上げるポイント
集患戦略は、「オールファミリー戦略」により、患者の家族全員の「かかりつけ医」として高度な診断力と治療を提供し、その家の健康を支えることで患者を集めている。また、細かな心配りと地道な取組により、患者の信頼を獲得している。
■温かい対応で、孫から祖父母までオールファミリーをフルカバー
第1に、温かい対応で孫から祖父母までを総合的な診療でフルカバーし、長期的な視点でサポートしている。
患者には、小さい頃から診療所と接点を持ってもらうことで、その後の長期的な受診を導いている。子供に受診のご褒美としておもちゃを渡す際は、子供に対して勉強、もしくは日頃の行いに対するモチベーションを上げるための効果的な言葉をかけている。また、どんな小さな子供でも可能な限り子供に向き合う。そんな温かさは家族全体の信頼につながる。
ある高齢の患者が、「もう誰も家族がいなくなった。だからあの世に行ってもいいのだ。」と寂しそうに言った時、杉本院長は、「私がいるから、私のために頑張って長生きして!」と言っていた。これらの言葉は患者にとり、しっかり治療して、次も診てもらいたいと思う原動力になるだろう。