なぜ専門特化病院はスタッフが成長し、医療レベルが向上するか (※画像はイメージです/PIXTA)

所沢ハートセンターは循環器疾患に専門特化し治療に専念しています。桜田真己院長は、「専門特化した病院のメリットは、全スタッフの専門性の高さと24時間夜間でも医療レベルが落ちないところ。」と強調する。それはなぜでしょうか。※本連載は杉本ゆかり氏の著書『患者インサイトを探る 継続受診行動を導く医療マーケティング』(千倉書房)の一部を抜粋し、再編集したものです。

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夜中でも医療レベルが高く維持できる

■専門特化型だからこそ可能となる医療レベルの向上とスタッフの成長

 

桜田真己院長は、「専門特化した病院のメリットは、全スタッフの専門性の高さと24時間夜間でも医療レベルが落ちないところ。」と強調する。

 

所沢ハートセンターの特徴は、第1に、夜中でも医療レベルが高い状態で緊急対応ができる点にある。第2に、医師はもとより看護師を含めたスタッフのスキルがあがり、全員の医療レベルが向上している点である。第3に、専門性を高めるための環境がある。第4に、近隣診療所や救急隊員など外部との連携が挙げられる。これらは、専門特化型病院だからこそ実現できると考えられる。

 

(1)夜中でも高い医療レベル

 

大学病院は通常各県に1施設程度であり、いつでも受診することは難しい。そのような状況の中、所沢ハートセンターでは大学病院や大規模病院同様に、常勤医が当直を行っている。そのため、夜中でも医療レベルは高い状態を保ち、専門医の治療が受けられることが最大の利点である。

 

桜田院長は、病院における夜中の医療レベルは低い場合があることを問題視している。例えば、一般病院では当直はアルバイトの若い医師や非常勤の医師により行われるケースが多い。また、大規模な病院であったとしても、必ずその疾患の専門医が当直を担当しているとは限らない。そのため、夜間に医療レベルを保つことは難しいと指摘する。

 

状況を物語るケースを聞いた。都内に住む、ある医師の娘が夜中にお腹の激痛により救急車で病院に運ばれた。患者である娘は、病院に搬送されてからすでに1時間半が経過している。この段階で血液検査は行われていたが、病名は確定されていなかった。駆け付けた医師である父親は消化器の専門ではないが、娘の状態をみて急性虫垂炎を疑った。

 

しかし、当直の医師は、虫垂炎を否定したという。翌日、退院させて地元の病院に連れて行くと、早々に虫垂炎が診断された。

 

このケースからも言えるが、一般病院における夜間の医療レベルは、一定に保たれているとは言いにくい。循環器医長の谷脇医師は、「所沢ハートセンターでは夜勤も自分たち常勤の専門医が行う。だから、昼夜いつでも医療レベルは変わらず、深夜でもカテーテル手術を行うことができる。」と話す。一般的に、病院で経験値の高い常勤医や各専門医が常に当直を続けるのは難しく、できたとしても限界がある。

 

しかし、これを実現することで専門的な医療のレベルを24 時間保たせている。さらに、夜間の電話対応は医療系スタッフが行っているため、患者は緊急を要するのか、他病院を受診するべきかの判断が電話口で可能となっている。これらのシステムが夜中の医療レベルを押し上げている。

跡見学園女子大学兼任講師
群馬大学大学院非常勤講師
現代医療問題研究所所長

中央大学大学院戦略経営研究科修士課程(MBA)を首席で修了、同大学院同研究科博士課程にて博士(経営管理)取得。医療福祉専門学校の学校長を経て現職。医師会・医療機関・製薬会社等で講演活動を行う。専門は医療マーケティング論、マーケティング論、企業マネジメント論など。

著者紹介

連載「患者インサイト」患者の深層心理がわかれば医療現場が変わる

※本連載は杉本ゆかり氏の著書『患者インサイトを探る 継続受診行動を導く医療マーケティング』(千倉書房、2020年12月刊)の一部を抜粋し、再編集したものです。

患者インサイトを探る 継続受診行動を導く医療マーケティング

患者インサイトを探る 継続受診行動を導く医療マーケティング

杉本 ゆかり

千倉書房

「患者インサイト」とは、患者が心の奥底で考えている本音であり、医療に関する意思決定である。この患者インサイトを明らかにすることで、患者への情報提供や情報収集など、患者との効果的なコミュニケーション理解できるよう…

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