(※写真はイメージです/PIXTA)

なぜ、あなたのブランドが必要とされるのか。顧客の暮らしにどのような明確な価値を与え、どのような目的に応えるブランドなのか。圧倒的に強い「理屈で選ばれる定番」に勝つ方法はあるのか。※本連載は、ダグ・スティーブンス氏の著書『小売の未来 新しい時代を生き残る10の「リテールタイプと消費者の問いかけ」』(プレジデント社)より一部を抜粋・再編集したものです。

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    潤沢な資金に対抗する潤沢な独創性

    食物連鎖の頂点に立つ怪物たちと戦ううえで、最も重要な一歩は、これまで背を向けてきた冷酷な現実を積極的に受け入れることだ。そもそも競争自体をゴールにすべきではない。

     

    怪物企業はもちろん、それに触発されて生まれた無数のミニマーケットプレイスも、潤沢な資金と膨大なスタッフに恵まれている。アマゾンは、たった1つの技術上の問題に対処する際も、何かを開発する際も、5000人のエンジニアを投入する余裕がある。

     

    アリババがさらっと一筆書いて新しい市場で企業提携を結ぶだけで、数十億ドルの売り上げが転がり込んでくる。ウォルマートの2019年の販管費は1071億ドルで、実にコストコのパンデミック前の年間売上高を上回っているのだ。怪物の周りに次々に誕生するミニマーケットプレイス(怪物ジュニア)でも、取り扱い商品は数千万点に上る。こんな企業が相手では、とても勝負にならない。

     

    こうした怪物クラスや怪物ジュニアクラスが相手なら、専門知識も技術も予算も勝ち目はないが、その長く伸びた影に隠れて発展を遂げることは可能である。だが、そのためには、今手がけているビジネスそのものを何から何まで抜本的に見直す必要がある。

     

    アマゾンが潤沢な資金にいつでも手が届くというのなら、こちらはそれを上回るほどの潤沢な独創性を用意しようではないか。アリババが想像を絶するほどのテクノロジー予算を抱えているというのなら、こちらは独自のエレガントなデザインを前面に押し出そうではないか。

     

    ウォルマートが膨大な構造化データや非構造化データを解析しているというのなら、こちらは自ら現場で顧客と直接ふれあい、顧客をとことん深く知り尽くし、本当の意味での「顧客通」になってやろうではないか。京東がサプライチェーンを駆使してずば抜けた力を発揮しているというのなら、こちらは誰からも愛される魅力的なバリューチェーンを構築し、ビジネスの中心に常に顧客を置いて勝利をつかむしかない。

     

    次ページ理屈で選ばれる定番と感性で選ばれる定番
    小売の未来 新しい時代を生き残る10の「リテールタイプと消費者の問いかけ」

    小売の未来 新しい時代を生き残る10の「リテールタイプと消費者の問いかけ」

    ダグ・スティーブンス

    プレジデント社

    アフターコロナに生き残る店舗経営とは? 「アフターコロナ時代はますますアマゾンやアリババなどのメガ小売の独壇場となっていくだろう」 「その中で小売業者が生き残る方法は、消費者からの『10の問いかけ』に基づく『10の…

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