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相続税申告は税務署でも相談できる
税務署では、正しく申告・納税してもらうために納税者からの相談に応じています。電話相談のほか、税務署で職員と面談することもできます。申告書の作成を税理士に依頼する場合とは異なり、税務署では無料で相談ができます。ただし、対応は平日の日中に限られ、相談するにはある程度の予備知識も必要です。
税務署に相談するための準備
相続税の申告について税務署に相談する場合は、相続の事実関係を整理して相続税の仕組みを理解するなど、事前に準備をしておきましょう。
■事実関係を整理しておく
税務署に相談する前に相続の事実関係を整理しておきましょう。税務署の職員は相談者の家庭の事情を知っているわけではありません。初対面の職員でも事実関係がすぐわかるように、次のような点についてまとめておくとよいでしょう。
・誰が亡くなったか
・相続人の人数と続柄
・どのような遺産がどれぐらいあるか
■相続税の仕組みを理解しておく
相続税の仕組みを理解しておくことも大切です。知識が全くない状態で相談すると、相続税の仕組みの説明を受けるだけで時間を費やすことになってしまいます。
例を一つあげると、相続税には基礎控除額があって、遺産総額が3,600万円以下(相続人が1人の場合)であれば申告の必要はありません。このことを知っているだけで、たとえば遺産総額が2,000万円の人なら申告の必要はなく、わざわざ税務署に相談しなくてもよいことがわかります。
このほか、次のようなことについても知っておくとよいでしょう。
・相続税はどのような遺産に課税されるか
・遺産の価値はどのように評価するか
・税額はどのように計算するか
電話による相談
相続税の仕組みや申告手続きについての質問など電話でのやり取りで済む簡単な内容であれば、税務署に電話して相談することができます。最寄りの税務署の電話番号は、国税庁ホームページの「税についての相談窓口」で確認できます。税務署に電話すると自動音声が流れます。
電話は国税局の「電話相談センター」に転送され、相続税に詳しい専門の職員が対応にあたります。「電話相談センター」では相続税についての一般的な質問には答えてもらえますが、個別の事例に沿った相談については明確な回答がもらえない場合が大半です。個別の事例に沿った相談は電話だけでは解決しづらいため、税務署に出向いて相談することをおすすめします。
税務署に出向いて相談
個別の事例に沿った相談をしたい場合や、申告書や根拠資料などの提出書類を職員に見てもらいたい場合は、税務署に出向いて相談することができます。
税務署での相談には電話予約が必要です。予約の段階で、相談したい内容を簡潔に伝えておくとよいでしょう。
なお、所得税の確定申告の時期(1月~3月ごろ)はどこの税務署も混雑して、相談の予約が取りにくくなります。申告期限が翌年であっても、混雑を避けて年内に相談することをおすすめします。
税務署で相談することのデメリット
税務署での相談は無料で手軽にできる反面、デメリットもあります。ここでは、税務署で相談することのデメリットを2つご紹介します。
■節税アドバイスは望めない
税務署での相談では、相続税の節税に関するアドバイスは期待できません。税務署が納税者の相談に応じるのは、あくまでも納税者に正しく税金を納めてもらうことを目的にしているからです。
■回答が間違っていても責任はとってもらえない
税務署での相談では、相談者が職員の知識や経験を前もって知ることはできません。新人の税務職員が担当することも多く、仮に職員の回答した内容が間違っていたとしても責任はとってもらえません。
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