「認知症と診断されたのに、うつ病だった」…高齢者がかかりやすい疾患の特徴まとめ【専門医が解説】

「認知症と診断されたのに、うつ病だった」…高齢者がかかりやすい疾患の特徴まとめ【専門医が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

「認知症かな?」と思われる症状が、精神疾患であるケースは少なくありません。精神疾患であれば治療次第で劇的な改善が見込めるため、適切な診断を受けたいものです。ここでは医療法人昭友会・埼玉森林病院院長の磯野浩氏が、認知症と間違えやすい「3つの精神疾患」について解説していきます。

部屋が片付けられないときの「うつ病と認知症の違い」

〈老人性うつ〉

 

うつ病は精神疾患のなかでも「気分障害」に分類されることからも分かるように、気分の落ち込みとそれに伴う不眠や食欲不振、集中力の低下などが代表的な症状です。うつ病の場合も、やる気がなくなる、身の回りのことができなくなるといった、一見すると認知症かもと思われるような症状があらわれるということです。

 

気分の落ち込みや興味・喜びの喪失がベースにあり、気分が沈んでいるために反応が鈍くなったり、やる気が起こらず活動性が落ちたりすることから、そうした様子を認知機能の低下のせいと受け取られ、間違えられることがあります。

 

つまり、うつ病による症状なのに、認知症と診断されてしまうケースが実際によく起こっています。

 

ただし、その人がうつ病だけを患っているならば、認知症と違って、時間や場所等、周囲の状況まで分からなくなってしまうということはまずありません。うつ病の場合は抗うつ薬で症状を改善、消失させることが可能なので、認知症と思い込まずにきちんと鑑別診断を受けることが大切です。

 

難しいのは、認知症の初期症状の一つにうつ状態があり、初期のうちは両者の見分けが特につきづらいことや、最初はうつ病だったのに、時間の経過とともに認知症へ移行したり、両者を併せもったりするケースもあることです。

 

最初にかかった医療機関でうつ病と診断され、ずっとその治療を受け続けてきたが、いつの間にか認知症を発症しており、発見が遅れてしまった、というケースも珍しくありません。

 

特に、レビー小体型認知症はうつ病から移行しやすいことが分かっています。

 

うつ病とアルツハイマー型認知症

 

なお、うつ病では悲観的になり自分を責めてしまう傾向があります。例えば、部屋が散らかっていても片付けられないとき、うつ病の人はよく「片付けができない自分が情けない、家族に申し訳ない」と言います。

 

一方、アルツハイマー型認知症では「子どもが片付けちゃだめって言うんです」など、周囲のせいにして取り繕う傾向があります。

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※本連載は、磯野浩氏の著書『認知症診断の不都合な真実』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

認知症診断の不都合な真実

認知症診断の不都合な真実

磯野 浩

幻冬舎メディアコンサルティング

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