オランダにある「認知症の人だけが住む街」…訪れた医師が「感動した」ワケ (※写真はイメージです/PIXTA)

2020年度、日本における認知症の推定患者数は600万人を超えました。認知症の増加は日本だけでなく、世界で共通した課題ですが、治療の仕方は国によって大きく異なるようです。埼玉森林病院院長で認知症専門医の磯野浩氏が解説していきます。

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オランダ「認知症の人だけが住む街」に感動したワケ

私は病院に勤務し始めてから2年に一度のペースで、海外の高齢者医療・ケア施設へ行き、認知症医療の実状を視察してきました。

 

認知症の高齢者が施設でどのように過ごしているか、最期の時をどのように迎えているのか、施設づくりの方向性と目指しているケアのあり方など、多くの事例を見てきました。

 

これまでに訪れた国は、フランス、オランダ、ノルウェー、フィンランド、スウェーデンなどで、世界でも認知症ケアが進んでいると定評のある都市を中心に、10ヵ所以上にのぼります。

 

そのなかで感じたことは、欧州では「認知症であっても、患者自身の自由と尊厳を認める基本精神が根づいている」、ということです。その精神は、いわゆる最期の看取りまで徹底しているのです。

 

例えばオランダです。

 

アムステルダムの南東、ヴィースプ市にあり、世界的に知られている「認知症の人だけが住む街」ホグウェイを訪れたときの感動は今でも忘れられません。

 

正確にいえば、街のようなつくりの高齢者ケア施設なのですが、スーパーやカフェ、映画館といった商業施設が並んでいる様子はどこから見ても普通の「街」です。入所者は、その街の中であれば自由に外出でき、買い物をしたり寛いだりすることができます。

 

またホグウェイでは入所者の趣味や価値観、これまでのライフストーリーなどに基づき、似たバックグラウンドの人が近所になるよう配慮しており、サークルなども充実しています。

 

認知症であっても趣味などを通して人との交流が活発にでき、やりがいや生きがいを感じられるよう工夫されています。

 

10年ほどの歴史をもつホグウェイは、認知症患者の自由や自立を重んじ最期まで普通に暮らし、自分らしく生きることをサポートする、これからのあるべき認知症ケアの先駆的存在と世界で注目されています。

 

「現実的に、認知症の人が発症前と同じように生活するのは難しい、それならいっそ、施設の中に『街』を再現しよう」という発想は、世界にインパクトを与え、欧米で追随する国も増えてきています。

医療法人昭友会 埼玉森林病院 院長 

昭和大学医学部を卒業し、精神医学教室入局。昭和大学病院等に勤務。
20数年ほど前から老年精神医学を専門にし、浴風会病院勤務時は認知症の脳の病理解剖診断も多数経験した。
並行して品川区大井保健相談所での老人精神保健相談も務め、訪問診療も積極的に行い、臨床の経験も重ねる。
2007年4月~埼玉森林病院副院長。
2009年4月~埼玉森林病院院長に。現在に至る。
2004年 日本老年精神医学会 学会奨励賞。「レビー小体型痴呆の臨床的特徴と診断基準の有用性について」

著者紹介

連載老年医学の専門医が解説「認知症診断の不都合な真実」

※本連載は、磯野浩氏の著書『認知症診断の不都合な真実』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

認知症診断の不都合な真実

認知症診断の不都合な真実

磯野 浩

幻冬舎メディアコンサルティング

超高齢社会に突入した日本において、認知症はもはや国民病になりつつあります。そんななか、「認知症」という「誤診」の多発が問題視されています。 高齢者はさまざまな疾患を併せ持っているケースが多く、それらが関連しあ…

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