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認知症は誤診が多いが…簡単に判断できる“2ステップ”
認知症の診断は難しいとはいえ、診断手順そのものは実は、つきつめれば至ってシンプルです。
1.認知症状態かどうかを見極める
2.認知症状態であると見極めたなら、その原因疾患は何かをつきとめる
の、たった2ステップに集約されるからです。これからの話にも関わりますので、参考までに、各ステップで診断の補助として使われるおもな検査を[図表]にまとめました。
このステップは認知症独自というわけではなく、他の多くの疾患にも共通している基本的なことではないかと思われます。こと認知症においては似た症状を呈するほかの疾患がいくつもあったり、高齢者で複数の疾患を併発していたりするケースも多いことから、複雑に見えるのだと思います。
しかしこの2段階をきちんと踏めば、絶対とはいえないまでもおおかたの診断はつくはずです。それが、現状ではできておらず、誤診や不十分な診断が多いというのは、1か2のいずれかまたは両方が適切に行われていないからということになります。
具体的に、何が問題なのか、認知症診断において起こりがちな「落とし穴」が分かれば、選ぶべき医師の条件も見えてくるはずです。
心理検査は認知症診断のステップ1([図表]参照)で、認知機能の低下を客観的に把握するツールとして重要な検査であることはいうまでもありません。しかし、その数値だけで病気の有無や進行度を判断しようとすることは誤診を招きかねず、とても危険です。
認知機能を測る検査としてよく知られているものに長谷川式簡易知能評価スケールがあります。「今日は何月何日ですか?」「ここはどこですか?」「100から順に7を引いてください」といった短い設問で見当識や計算力、記銘力などの認知機能を採点し、30点満点中20点以下は認知症の疑いあり、とするものです。