「俺はぼけてなんかいない」家族に手を引かれ…認知症診断に“誤診”が多発するワケ【専門医が解説】

「俺はぼけてなんかいない」家族に手を引かれ…認知症診断に“誤診”が多発するワケ【専門医が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

現在、認知症の「誤診」「不十分な診断」の多さが深刻な問題となっています。正しい診断を受けるために知っておきたい知識を、医療法人昭友会・埼玉森林病院院長の磯野浩氏が解説していきます。

 

【関連記事】「5人にひとり」が認知症に…予備軍の「ちょっとしたサイン」

認知症は誤診が多いが…簡単に判断できる“2ステップ”

認知症の診断は難しいとはいえ、診断手順そのものは実は、つきつめれば至ってシンプルです。

 

1.認知症状態かどうかを見極める

 

2.認知症状態であると見極めたなら、その原因疾患は何かをつきとめる

 

の、たった2ステップに集約されるからです。これからの話にも関わりますので、参考までに、各ステップで診断の補助として使われるおもな検査を[図表]にまとめました。

 

医療法人昭友会・埼玉森林病院資料より作成
[図表]認知症の基本的な診断ステップ 医療法人昭友会・埼玉森林病院資料より作成

 

このステップは認知症独自というわけではなく、他の多くの疾患にも共通している基本的なことではないかと思われます。こと認知症においては似た症状を呈するほかの疾患がいくつもあったり、高齢者で複数の疾患を併発していたりするケースも多いことから、複雑に見えるのだと思います。

 

しかしこの2段階をきちんと踏めば、絶対とはいえないまでもおおかたの診断はつくはずです。それが、現状ではできておらず、誤診や不十分な診断が多いというのは、1か2のいずれかまたは両方が適切に行われていないからということになります。

 

具体的に、何が問題なのか、認知症診断において起こりがちな「落とし穴」が分かれば、選ぶべき医師の条件も見えてくるはずです。

 

心理検査は認知症診断のステップ1([図表]参照)で、認知機能の低下を客観的に把握するツールとして重要な検査であることはいうまでもありません。しかし、その数値だけで病気の有無や進行度を判断しようとすることは誤診を招きかねず、とても危険です。

 

認知機能を測る検査としてよく知られているものに長谷川式簡易知能評価スケールがあります。「今日は何月何日ですか?」「ここはどこですか?」「100から順に7を引いてください」といった短い設問で見当識や計算力、記銘力などの認知機能を採点し、30点満点中20点以下は認知症の疑いあり、とするものです。

次ページ心理検査での決めつけは「誤診と疑うべき」理由

※本連載は、磯野浩氏の著書『認知症診断の不都合な真実』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

認知症診断の不都合な真実

認知症診断の不都合な真実

磯野 浩

幻冬舎メディアコンサルティング

超高齢社会に突入した日本において、認知症はもはや国民病になりつつあります。そんななか、「認知症」という「誤診」の多発が問題視されています。 高齢者はさまざまな疾患を併せ持っているケースが多く、それらが関連しあ…

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧