「独居の女性」「聴力・視力の低下した方」は要注意
〈妄想性障害〉
妄想性障害は精神疾患の一つ「統合失調症」に分類される病態で、事実に反したことを信じ込み訂正不能な状態を指します。
例えば、私が出かけると家に誰かが入ってきて靴下を盗っていくとか、屋根裏に男がいて粉のような毒をまいているとか、ドアの向こうから「出ていけ」などと自分を追い出そうとする声が聞こえる、などの被害妄想や、時に幻聴を伴うこともあります。
老年期の幻覚・妄想は、主題が現実的、世俗的で物化していて、対象が配偶者や家族、近所の人など具体的で、より生活に密着したものが多いといった特徴があるといわれています。
また、女性で独居していることや、難聴や視力低下など感覚器の障害がリスクファクターであるともいわれています。
ただ、妄想性障害は妄想だけが症状として出てくるものであり、認知機能は保たれています。そこが、認知症との決定的な違いとなります。
磯野浩
医療法人昭友会埼玉森林病院院長