「認知症と診断されたのに、うつ病だった」…高齢者がかかりやすい疾患の特徴まとめ【専門医が解説】

「認知症と診断されたのに、うつ病だった」…高齢者がかかりやすい疾患の特徴まとめ【専門医が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

「認知症かな?」と思われる症状が、精神疾患であるケースは少なくありません。精神疾患であれば治療次第で劇的な改善が見込めるため、適切な診断を受けたいものです。ここでは医療法人昭友会・埼玉森林病院院長の磯野浩氏が、認知症と間違えやすい「3つの精神疾患」について解説していきます。

 

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年齢を重ねると「精神疾患にかかりやすくなる」ワケ

認知症に限らず、高齢になるとさまざまな疾患にかかりやすくなります。そのなかでも特に注意すべきは精神疾患です。

 

というのも、多くの喪失体験といった環境要因のうえに加齢により神経系も老化し、思考や感情のコントロールに関わる神経伝達物質や脳内ホルモンの分泌が低下することなどにより、精神面のバランスを崩しやすく、体の病気や服薬なども精神疾患の発症リスクを高めるからです。

 

一見、認知症かなと思われる症状を呈していても、調べてみると認知機能の低下ではなく、ほかの精神疾患であることが分かるケースは少なくありません。

 

例えば意識障害といって、簡単にいえば、意識がもうろうとして、思考力や判断力が鈍っている状態になると、自分が今いるところが分からなくなる、幻覚が出て突然叫び出すなどの、認知症でも見られる症状を呈することがあります。

 

また、うつ病やうつ状態などで脳の活性が低下していても、もの忘れがひどくなったり、今までできていたことができなくなったりします。

 

こうした精神疾患は、認知症と併せもっている場合もよくありますし、精神疾患から認知症へ移行する場合もあります。

 

ここで大切なのは、認知症であってもそうでなくても、本人が生活に支障をきたし、家族がフォローに困るような症状は放っておかない、ということです。特に次に挙げる病気は、医療機関で適切な治療を受けることで、劇的な症状の改善が見込まれますので、家庭で抱え込んではいけません。

 

ここでは特に間違えやすい疾患として「せん妄」「老人性うつ」「妄想性障害」の3つを挙げました。

次ページ「ごくありふれた薬」が誘因となり…浅い“意識障害”

※本連載は、磯野浩氏の著書『認知症診断の不都合な真実』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

認知症診断の不都合な真実

認知症診断の不都合な真実

磯野 浩

幻冬舎メディアコンサルティング

超高齢社会に突入した日本において、認知症はもはや国民病になりつつあります。そんななか、「認知症」という「誤診」の多発が問題視されています。 高齢者はさまざまな疾患を併せ持っているケースが多く、それらが関連しあ…

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