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介護者の負担増大…アルツハイマー型認知症中期の症状
アルツハイマー型認知症では発症から数年経過し中期になると、徘徊や不眠・不穏、妄想や幻覚、暴言や暴力といったBPSDと呼ばれる認知症に伴う行動・心理症状が出てくることがあります。こうした症状への対応で介護者の負担が増大する時期でもあります。
暴言や暴力行為は介護者に向けられ、また、徘徊で外に出るようになると、それまで家の中だけだった行動障害が屋外まで広がるため、介護者にとってはケアを要する場が広くなります。さらに、不眠・不穏が出ると、行動障害は昼夜に及ぶため、ケアを要する時間も長くなります。
そのため、初期のうちには医療機関を受診していなくても、中期になると介護者が困って、初めて受診する、ということも少なくありません。
また、ケアも初期のうちは主として自宅だったのが、介護負担が増えるためにやむなく病院や老人保健施設などへ入院、入所させる、といったケースが増えてきます。
もちろんこうした事情では、家族も安易に施設へというつもりがないのは明白ですが、国の認知症施策では、できるだけ住み慣れた地域で生活を続けられることを目的の一つに掲げておりますので、それならば可能な限り介護負担が大きくのしかかりがちなBPSDを軽くし、本人も家族も自宅で穏やかでいられることのほうがずっと望ましいわけです。
一方、病院や施設でも、認知症患者の増加にしたがい、BPSDの対応に苦慮するようになり、対応力向上が課題となっています。いかに、BPSDにうまく対処し激しい言動を起こさないようにするかは、認知症介護に携わる人にとっていちばんの関心事であり悩みどころであるといっても過言ではありません。
問題解決のカギとなるのは、薬物療法などではなく、介護する側の「関わり方」であるというのが私の考えです。関わり方次第で、症状が強くなったり、改善したりしやすいことは国内外ですでに多くの報告があがっています。
実際に当院でも、関わり方を変えることで認知症患者の表情や言動が明らかに変わり、BPSDが改善された手ごたえを得ています。