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依存症は「孤独」と密接な関係がある
■依存症は「ひとり」でやるもの
厚生労働省をはじめとする統計を見ると、近年、日本の依存症患者の増加には著しいものがあります。
さまざまな推計値でいくと、アルコール依存症の疑いがある人は440万人、治療の必要なアルコール依存症の患者は80万人以上、ギャンブル依存症は280万人、スマホも含めてインターネット依存症の疑いがある人は中高生で93万人超、成人は421万人、ニコチン依存症は1487万人もいると考えられているのです。
そのほか、ゲーム依存、処方される睡眠薬や安定剤などの薬物依存、買い物依存、セックス依存など、なんらかの形で依存症にかかっている人をすべて合わせると、優に3000万人に達します。これは諸外国と比べても非常に多い数字です。
おそらく多くの読者は、依存症なんか他人事だと思っているでしょう。
しかし、依存症というのは「誰でもかかり得る病気」なのです。
しかも、「孤独」と非常に密接な関係があります。
「依存症」と名前の付くものの大半は、「ひとりでやる」ものです。買い物依存症の人が、友達と連れ立って仲よく買い物しまくるという話は聞いたことがありません。実際、人と一緒に楽しめる人は依存症になりにくいとはよく言われることです。アルコール依存症の予防では、「ひとりでは飲まない」「飲むときは誰かと一緒に」というのが鉄則になっているくらいです。
ある心理学者が、40歳から75歳までの人を対象に、人付き合いの多い人・少ない人にわけてアルコール摂取量の調査をおこなった結果があります。
それによると、アルコールの摂取量が1日20グラムを超えるのは、人付き合いの多い人では14.1パーセントだったのに対し、人付き合いの悪い人では23.4パーセントと跳ね上がりました。
アルコール依存症の目安は、1日の飲酒量がビールなら500ml缶3本、日本酒なら3合、ワインならワイングラス6杯までというのが一応の基準とされていますが、友達と飲むときよりもひとりで飲むときのほうが、つい酒量が増えてしまうという人は多いでしょう。
人は孤独になると飲みたくなる生きものなのです。