(※画像はイメージです/PIXTA)

この依存先がたくさんあって、ひとつひとつへの依存度が浅い人ほど、「自立」できている人であり、孤独をうまくコントロールできる人なのです。さまざまな選択肢がとれればとれるほど、心は安定し、孤独に対しても強くなります。精神科医の和田秀樹氏が著書『孤独と上手につきあう9つの習慣』(大和書房)で解説します。

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いろんな可能性や選択肢を提示すること

■プロの役割は「解決法」を増やすこと

 

プロや専門家に相談するとき、その意味をはき違えないようにすることだけは、気をつけてください。

 

私なども、なにか事件が起こったときに、精神科医としてマスコミからコメントを求められることがありますが、「この犯人はどんな人なんでしょう?」という問いに対して、ピタリと答えを当てるのがプロだと思われているフシがあります。

 

しかし、プロというのはいろんな可能性を提示できることだと私は考えています。

 

ドンピシャのたったひとつの答えを期待している人にはガッカリさせてしまうかもしれませんが、「こういう可能性もある。ああいう可能性もある」と、さまざまな方向性で語れてこそプロなのです。超能力者や預言者のお告げとは違います。

 

カウンセリングも同様です。

 

「プロなんだから、何でもお見通しのはず」
「ものすごく画期的な解決法を教えてくれるはず」

 

こんな他人本位な期待だけでカウンセリングに臨んでも、望む効果は得られません。

 

プロができるのは、画期的な解決法を見出すことではなく、

 

いろんな可能性や選択肢を提示すること。

 

最後にどれを選ぶか、どうやって解決するかを決めるのは、あなた自身なのです。プロはあなたのその決断をサポートしてくれるだけなのです。

 

■選択肢が増えれば増えるほど、心は安定する

 

「一生懸命、おいしいごはんをつくって、家をきれいに整えて、家族が気持ちよく過ごせるように頑張っても、誰も褒めてくれない……。家族からも〝やって当たり前〟と思われている」

 

主婦の方の話を聞くと、こんなことを言う方がよくいらっしゃいます。悩みというほどではないけれど、家事を頑張る気持ちが低下したり、嫌々やることになったり、空しい気分になったりする。

 

でも最近、インテリアや料理、ピカピカに磨いたキッチンなどの写真を撮り、インスタグラムやフェイスブックなどに載せて、主婦仲間で褒め合う関係をつくっている人を見かけることがあります。誰かに自分の頑張った姿を見てもらって、褒めてもらう。それをまた明日から頑張るためのエネルギーにするというわけです。

 

「褒め合う」というのが目的なので、ちょっと自己満足のような写真でも掲載しやすいし、同じ立場にいる人同士なら共感もしてもらいやすい。お互いに「同盟関係」だと認識していれば、自慢にとられることもないし、励ましの言葉もスムーズにかけ合える。

 

さらに、1日の終わりに家事が完了した写真を掲載する程度であれば、ネット依存にはまることもないでしょう。

 

「これはSNSを建設的に利用できているケースだなあ」と感心しました。

 

何度も言うようですが、孤独に対して強くなるためには、たくさんの依存先、選択肢を持つことです。

さまざまな選択肢がとれればとれるほど、心は安定し、孤独に対しても強くなる。

 

次ページ選択肢の多さが孤独とうまくつき合うコツ

※本連載は精神科医である和田秀樹氏の著書『孤独と上手につきあう9つの習慣』(大和書房)から一部を抜粋し、再編集したものです。

孤独と上手につきあう9つの習慣

孤独と上手につきあう9つの習慣

和田 秀樹

大和書房

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