(※画像はイメージです/PIXTA)

依存症は「誰でもかかり得る病気」で、「孤独」と密接な関係があるといいます。孤独によって依存症のリスクが高まるのであれば、孤独でなくなれば依存症が治る可能性も高まると和田氏は指摘します。依存症から脱出する方法とは。※本連載は精神科医である和田秀樹氏の著書『孤独と上手につきあう9つの習慣』(大和書房)から一部を抜粋し、再編集したものです。

人の脳内にドーパミンが大量に放出されると

■脳のプログラムが書き換えられてしまう怖さ

 

依存症というのは、自分の意思では飲酒やギャンブルといった行動をコントロールできなくなり、衝動的、強迫的にそれらをくり返してしまう精神疾患のことです。

 

大量のアルコール摂取で体を壊そうが、家族に迷惑をかけようが、仕事に差しさわりがあろうが、「これ以上飲んではダメだ」とわかっていても、自らの意思では飲酒行動をコントロールできなくなってしまう。

 

依存症の怖いところは、このように健康を害したり、借金をしたり、仕事ができなくなったりして社会生活を送るのが難しくなるだけでなく、他の依存症を併発して複合依存になりやすく、自殺傾向が強まったりすることです。抑うつ、気分不安定、不安障害、強迫性障害などとの親和性の高さも指摘されています。

 

さらに、本人だけでなく周りの人への影響も非常に大きく、ギャンブル依存症の調査では、本人だけでなく、配偶者の15パーセントまでがうつ病などで精神科にかかっていたという報告まであります。

 

では、なぜこれらの行動に、制御できないほど依存してしまうのでしょうか。

 

脳科学的な見地からは、飲酒やギャンブルといった行動を起こすと、人の脳内にはドーパミンが大量に放出されるからだとされています。ドーパミンは快感物質とも呼ばれ、これを得たいがために、何度もその行動をくり返してしまう。

 

人は、本能的に承認欲求を満たしたい生きものです。

 

誰かに認めてもらいたい。イヤなことがあったら慰めてもらいたいし、グチのひとつでも聞いてくれる相手がほしい。そうして人と接している間は、イヤなことのストレスから心は解放されているわけです。

 

しかし、そういう相手が得られなかったり、自分が認められているとは思えないとき、あるいは誰からも必要とされている実感がない場合、人を遠ざけてモノや行為によって代替しようとします。

 

そのときもっとも効率がよいのが、ドーパミンが大量に放出される行為なのです。

 

そのうえ厄介なことに、最近の研究では、依存状態になると脳のプログラムが書き換えられてしまうという説が有力になっています。

 

私たちは、やらなければいけないことがあるとき、それが少々重荷に感じられても「いま我慢してやれば、あとで幸せを得られる」と思って実行します。

 

「仕事なんかせずに酒でも飲んでいたいな」

「勉強なんかせずにゲームをしていたいな」

 

と思ったとしても、「これさえ終えれば好きなことができる」とか「これが完了すれば周囲から評価される」といった報酬を励みに頑張れます。そして、いま頑張っているということ自体が「快感」になります。これが脳の「報酬系」の作用です。

 

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孤独と上手につきあう9つの習慣

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