【関連記事】年収も肩書も立派なのに“アパートローン審査に落ちる人”の特徴
オーナーチェンジ物件のメリットは…
知人から勧められて「アパート経営」を検討している医師のAさん(31歳)。不動産投資は入居者付けが大変だと聞いていたため、初心者の自分は「オーナーチェンジ物件」を購入すべきなのではないか、と考えています。しかし、実際にオーナーに話を聞きに行っても、「オーナーチェンジ物件」のメリットを語られるばかりで、デメリットが見えてこないため、不安を感じているようです。
確かに、オーナーチェンジ物件には多くのメリットが存在します。
①すぐに賃料が得られる
アパートオーナーが最初に直面する「入居者がなかなか入らず収益につながらない」という不安を抱える必要がありません。
②初期費用が抑えられる
外観や内装、設備が新しい物件は、入居者が集まりやすいため、中古物件を購入したオーナーは、リフォームを検討しなければなりません。しかし、すでに入居者がいる物件であれば「入居者付け」を考える必要はありません。初期費用を抑えて投資を始めることができます。
③融資を受けやすい
すでに入居者がいる物件は「収益化の実績がある」と見なされ、金融機関からの評価が高くなりやすく、ローン審査が有利に進む可能性が高いのです。
すでに入居者がいるからこそのデメリットも
もちろん、すでに入居者がいるからこそのデメリットも存在します。
①部屋の内覧ができない
すでに入居者がいる部屋を内覧することは難しいため、オーナーチェンジ物件は、入居者が退去して初めて、部屋の状態を知ることになります。傷み具合によっては、多額のリフォーム費用が発生することもあり得るのです。
②契約内容の変更ができない
オーナーチェンジ物件は基本的に、賃借人との契約内容もそのまま引き継がれることになります。たとえ、前のオーナーが設定した家賃が相場より低かったとしても、値上げ交渉には応じてもらえないと考えたほうがいいでしょう。同意を得られない限りは、契約内容を変えることもできません。
③入居者を選べない
入居者がいない物件のオーナーは、職業や年収帯などを事前にチェックし、住民トラブルを未然に防ぐ努力ができます。しかし、オーナーチェンジ物件は、自分で入居審査をしたわけではないため、購入後に「実は家賃滞納の常習犯だった」「以前から住民トラブルが多い入居者だった」という事実を知ることもあるのです。
オーナーチェンジ物件の購入で、注意すべきポイント
メリットと同じく、デメリットも複数存在するオーナーチェンジ物件。しかし、購入前にポイントを抑えて確認しておくことで、想定外のトラブルを防ぐことができます。
①売却した理由
オーナーがなぜ物件を売却したのか、経緯をしっかり把握しておきましょう。「次の物件の購入費用に充てたい」「遠方に転居するため管理が難しくなった」などといった合理的な理由の場合は問題ありませんが「入居者トラブルが多発したから」「空室ができると埋まりにくい」など、ネガティブな理由の場合もあり得ます。
②管理状況
すでに入居者がいる場合は物件の内覧ができないことが多いため、これまでの管理状況を入念に確認するようにしましょう。「家賃滞納をする入居者はいないか」「修繕管理は適切か」「過去に入居者トラブルは起きていないか」などを調べると良いでしょう。また、共用部の清潔感や物件周囲の環境も、判断材料のひとつです。
③今後の入居見通しが立っているか
「オーナーチェンジ物件はすでに入居者がいるため、家賃収入に困ることはない」と考える方も多いのですが、もしも空室になった場合、新たな入居者を探すのは新オーナーです。エリアや間取り、設備は入居者の需要に添っているのか、事前に調査しておきましょう。周辺の相場や物件を把握しておくことも重要です。
とりわけ学生向けアパートのように、高い確率で入居者が入れ替わる物件などについては、昨今のコロナ禍において、オンライン講義の浸透により、あえて実家から離れ、アパートに入居してまで遠くの大学に通うといった需要が少なくなりつつある点において、注意する必要があります。
上記のほかにも「契約内容は適切なのか」「賃料は周辺の相場と比して妥当か」「近隣環境に変化の兆しがないか」など、事前に確認しておくべき事項はまだまだあります。不安なことがあれば金融機関の融資担当者などに相談し、アパート経営への一歩を踏み出してみましょう。