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糖尿病歴は5年…小康状態でも「団信」は加入できる?
【事例】
5年前に糖尿病を発症し、闘病生活を送ってきたAさん(47歳)。慣れるまでは苦労しましたが、インスリン投与のタイミングや食べものに気をつけるようになってからは、生活に大きく影響することもなく暮らすことができています。
そんなとき、Aさんは知人がアパート経営を始めたと知ります。「ずいぶん思い切ったなぁ。お前の奥さん、財布の紐が堅いっていつも愚痴をいっていたじゃないか」と驚くAさんに、知人はこう答えました。
「団体信用生命保険のおかげだよ。加入していれば、もしも俺に何かあっても、ローンのことで家族に迷惑をかけなくて済むんだ。最初反対していた妻も、アパートの賃料で収入が増えると知って安心していたよ」
Aさんはこの話を聞いて、アパート経営に興味を持ったものの、持病や既往歴がある自分は団信を使えないのではないか、そもそもアパートローンを組むこと自体難しいのではないか……と、悩んでしまいました。
Aさんのようなケースの場合でもアパートオーナーになることは可能なのでしょうか。
「団信に入っていれば絶対安心」というワケではない
アパートローンにおける「団体信用生命保険(団信)」とは、マイホームを購入するときに付帯するものと仕組みは同じで、加入者が死亡、もしくは高度障害状態になった場合に、保険金がおり、住宅ローンの残高が完済されるシステムとなっています※。
※保障内容はローンの種類(特約)により異なる
申込書類に「健康状態」を申告する記入欄があり、原則は告知による加入審査となりますが、一般的にアパート投資における金額は5,000万円を超えるケースが多く、この場合、医師の診断が必要になるケースもあるのです。
なお、医師の診断内容や、病気、既往歴などにより保険会社が「引き受けられない」と判断した場合には、加入することはできません。虚偽の申告をした場合、発覚したら即時契約解除となってしまうため、嘘偽りない申告をすることが重要です。
また、Aさんの知人は「団信に入っていれば何か起きても安心」と発言していましたが、団信は病気や事故で働けなくなった際、かならずローンを肩代わりしてくれるとは限りません。保障内容や条件などを事前に確認し、納得してから加入することをおすすめします。
上記を理解した上で、アパートローンに団信を付帯しようと判断した場合には、しっかりと加入を検討する団信の保障内容を確認してみましょう。自分の健康状態に不安がある場合、団信を取り扱っている金融機関を通じて、事前審査を行うことも可能です。
持病があってもアパート経営を始めることは可能
団信のラインナップは、金融機関によってさまざまな保障内容が用意されています。
たとえば、死亡や高度障害を保障する一般的な団信に加え、
・「がん診断」された場合においても、保障や給付金を行う
・病気やケガで「入院」した場合に、保障や給付金を行う
上記のようなタイプも存在します。なお、糖尿病の方でも加入できるタイプの団信を取り揃えている金融機関もあり、将来のリスクに備えて「団信選び」もアパートローンの借入においても重要な要素であるといえるでしょう。
また、団信に入れない事情がある方でも、アパート経営を始めることは可能です。
返済計画と物件選びに問題がなければ、たとえ持病があったとしても、団信未加入で融資を受けられる可能性はあります。万が一債務者がローンを返済できなくなった場合でも、定期的な家賃収入を確保できていれば、返済に無理が生じることはないからです。ただし、団信未加入となり、債務者が死亡された場合にもローンが残ってしまうため、その旨を留意しておく必要があります。
アパートローンの借入に際して、団信加入の希望がある方は、まず銀行の担当者に相談をしてみましょう。もしものときに備え、日ごろから家族とアパート相続や返済計画について話し合っておくことも重要です。