経営者の父親が緊急入院後、数ヵ月で帰らぬ人に。会社の承継は決着しましたが、自身の相続は手付かずのままです。残された母親と子どもたちが相続手続きを進めるなか、今度は母親が急逝してしまいます。父親の相続手続きが残ったまま発生した母親の相続に、子どもはどんな対処をすればいいのでしょうか。相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が、実際に寄せられた相談内容をもとに解説します。
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病気知らずの経営者の父、緊急入院してそのまま…
今回の相談者は、50代の専業主婦の小池さんです。亡くなった父親の相続手続きについて心配があるとのことでした。
これまで健康だった小池さんの父親ですが、ある日、がまんできない腹痛のために病院に駆け込むと、消化器にひどい炎症が見つかり、緊急入院することになりました。回復が見込まれていましたが、高齢のためかだんだん体が弱ってしまい、治療の甲斐なく半年後に亡くなってしまったのです。
小池さんの父親は中小企業の経営者で、70代半ばを過ぎてもずっと現役で働いており、80歳になったら引退という計画を立てていたようです。しかし入院期間中、復帰は無理だと感じた父親は、急遽、小池さんの兄が経営を引き継ぐことになりました。おかげで会社のほうは大きな混乱が避けられましたが、その代わり、自身の相続については、手付かずの状態のまま旅立ってしまったのです。
母親は遺産分割協議の前に認知症を発症、急速に悪化
小池さんの両親は子どもたちが家を出て以来、ずっと2人暮らしでした。節税対策のため、敷地の半分に賃貸マンションを建て、その1室には今回会社を継いだ兄とその家族が暮らしていました。
今回の相続人は、配偶者である母親、父親の会社を継いだ兄、他県に嫁いだ姉、そして相談者小池さんの子ども3人の、合計4人です。
父親は遺言書を残していないため、4人で遺産分割協議書を作らなければなりません。ところが、父親が亡くなった半年後、そろそろ相続の手続きを詰めていかなければという段になって、ひとり暮らしの母親に認知症の症状が出はじめたのです。
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株式会社夢相続代表取締役
公認不動産コンサルティングマスター
相続対策専門士
京都府立大学女子短期大学卒。PHP研究所勤務後、1987年に不動産コンサルティング会社を創業。土地活用提案、賃貸管理業務を行う中で相続対策事業を開始。2001年に相続対策の専門会社として夢相続を分社。相続実務士の創始者として1万4400件の相続相談に対処。弁護士、税理士、司法書士、不動産鑑定士など相続に関わる専門家と提携し、感情面、経済面、収益面に配慮した「オーダーメード相続」を提案、サポートしている。
著書65冊累計58万部、TV・ラジオ出演127回、新聞・雑誌掲載810回、セミナー登壇578回を数える。著書に、『図解でわかる 相続発生後でも間に合う完全節税マニュアル 改訂新版』(幻冬舎メディアコンサルティング)、『図解90分でわかる!相続実務士が解決!財産を減らさない相続対策』(クロスメディア・パブリッシング)、『図解 身内が亡くなった後の手続きがすべてわかる本 2021年版 (別冊ESSE) 』(扶桑社)など多数。
◆相続対策専門士とは?◆
公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp) 認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。
「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。
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