※画像はイメージです/PIXTA

近年は証券会社のサービスが充実して、個人でも簡単に米国や中国など外国の株式を売買できるようになりました。そのため、相続財産に外国株式があって評価が必要になる機会も多くなっています。外国株式の相続税評価はどうなるのか、みていきましょう。

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外国株式の相続税評価方法

外国株式の相続税評価は、まず外貨建ての株価を求めて、次にその株価を外貨から邦貨に換算します。

 

相続税を計算するときの財産評価の方法は、財産評価基本通達で詳しく定められています。財産評価基本通達5-2では、「国外にある財産の価額についても、この通達に定める評価方法により評価する」と定められています。

 

したがって、外国株式も国内株式と同様の方法で評価することになります。

 

上場株式は4種類の価格のうち最も低いもので評価

外国の上場株式は市場で客観的な価格が明らかになっています。そのため、相続税評価額は国内の上場株式と同様に次の4種類の価格のうち最も低いものに保有株式数をかけて計算します(相続開始日とは通常は被相続人が死亡した日であり、終値とは取引があった日の最後につけられた価格をさします)。

 

●相続開始日の終値

●相続開始日の月の取引日ごとの終値の平均額

●相続開始日の月の前月の取引日ごとの終値の平均額

●相続開始日の月の前々月の取引日ごとの終値の平均額

 

外国の上場株式の株価は、取り扱っている証券会社に問い合わせるとよいでしょう。また株価情報サイトで調べることもできます。いずれのサイトでも、調べたい銘柄の株価を表示させて「時系列」という項目を選択すると、過去の株価が表示されます。手間はかかりますが、過去の終値を集計して月間の終値の平均額を計算することもできます。

 

非上場の外国株式は純資産価額方式で評価

取引所に上場していない株式の評価方法には、「類似業種比準方式」、「純資産価額方式」、「配当還元方式」があります。いずれの方式も会社の財務状況などから株式の価値を計算します。ただし、「類似業種比準方式」は日本国内の上場会社を基準に評価する方式であり、外国株式の評価に使うことはできません。

 

非上場の外国株式は、基本的に「純資産価額方式」で評価します。純資産価額方式では、会社の資産・負債の帳簿価額と相続税評価額の差額について法人税にあたる金額を差し引きますが、その税額には注意が必要です。株式を発行する企業がある国で日本の法人税、事業税、住民税にあたるものが課税されている場合には、評価差額からそれらの税額を差し引くことができます。

 

少数株主や経営者一族以外にあたる場合は、「配当還元方式」で評価しても差し支えありません。

 

非上場株式を個人で評価することは難しいため、現地の専門家に評価を依頼することも選択肢になります。

 

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本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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