※画像はイメージです/PIXTA

近年は証券会社のサービスが充実して、個人でも簡単に米国や中国など外国の株式を売買できるようになりました。そのため、相続財産に外国株式があって評価が必要になる機会も多くなっています。外国株式の相続税評価はどうなるのか、みていきましょう。

外貨から邦貨への換算方法

前項でお伝えした方法で評価した外国株式の株価は、相続開始日の為替換算レートで邦貨(日本円)に換算する必要があります。

 

邦貨に換算するときの為替換算レートは、原則として、納税義務者(相続税を申告する人)が取引する金融機関が公表しているものを使用します。金融機関が公表する為替レートにはいくつか種類がありますが、相続税評価ではTTB(対顧客直物電信買相場)を使用します。

 

非上場株式の評価では会社の純資産価額を計算しますが、資産や負債が通貨の異なる複数の国にある場合は計算が難しくなります。このようなときは、資産はTTB(対顧客直物電信買相場)で、負債はTTS(対顧客直物電信売相場)でそれぞれ邦貨に換算してから会社の純資産価額を計算することもできます。

 

相続開始日が土日や祝日の場合

相続開始日が土曜日・日曜日・祝日などで、金融機関が公表する為替換算レートがない場合には、相続開始日より前で最も近い日のものを使用します。上場株式の評価では相続開始日の前後で最も近い日の株価を使用しますが、為替換算レートでは異なる点に注意しましょう。

 

複数人で相続した場合の為替換算レート

外貨建ての株価を邦貨に換算するときの為替換算レートは、相続税を申告する人が取引する金融機関が公表しているものを使用します。

たとえば同じ銘柄の外国株式を複数人で均等に分け合って相続した場合、相続人ごとに為替換算レートが異なって邦貨換算後の評価額が異なる可能性があります。このように、金融機関ごとの為替換算レートの違いから評価額が異なっても問題はなく、相続人どうしで為替換算レートをそろえる必要はありません。

「海外財産」を相続することになったら

ここまで、外国株式の相続税評価の方法についてご紹介しました。上場株式であれば、外貨から邦貨への換算が必要となるものの、それほど評価は難しくありません。一方、非上場株式の評価は国内株式の場合と同様に専門家の手助けが必要になるでしょう。

 

また、株式の他に海外の預金や不動産を相続するという場合にも、専門家に相談した方が良いでしょう。外国の財産を相続するためには複雑な手続きが必要となり、相続税申告の手続きと同時並行で進めていると期限に間に合わなくなってしまう可能性もあるためです。

 

 

2025年2月8日(土)開催!1日限りのリアルイベント
「THE GOLD ONLINE フェス 2025 @東京国際フォーラム」
来場登録受付中>>

 

【関連記事】

■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】

 

■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」

 

■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ

 

■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】

 

■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】

 

本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録