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被相続人が死亡時点でまだ受け取っていない年金や死亡後に振り込まれた年金は、相続税の課税の対象になるのでしょうか。未収年金と相続税の関係についてみていきましょう。

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「公的年金の未収分」は相続税の対象か?

国民年金や厚生年金など公的年金は、偶数月の15日に前月と前々月の分がまとめて支給されます。年金の受給者が死亡したときは、死亡した月の分まで年金をもらう権利がありますが、支給は翌月以降になるため必ず未収年金が発生します。

 

[図表1]公的年金における未収金の考え方

 

未収年金は同一生計の遺族が請求して受け取ることができます。遺族が受け取った未収年金は、死亡した年金受給者の財産として相続税の対象になるように思われます。しかし、公的年金の未収分は受け取った遺族のものとなり、相続の対象にはなりません。したがって、相続税の課税対象にもなりません。

 

公的年金は受給者と家族の生活を保障するために支給されるものであり、受給者が死亡した場合は遺族の生活を保障するために支給されます。こうした趣旨から、未収年金は相続および相続税の対象にはなっていません。

 

遺族が受け取った未収年金は、遺族の一時所得として所得税の課税対象になります。ただし一時所得には50万円の特別控除があるため、未収年金だけで課税されることは少ないでしょう。

「死亡後に振り込まれた公的年金」は課税対象?

公的年金は、受給者が死亡したことを遺族が届け出れば支給が停止されます。しかし、死亡日から支給日までの期間が短い場合や遺族が手続きを忘れていた場合は、死亡した人の口座に年金が振り込まれます。このときの年金も、死亡時点では受け取っていなかったため未収年金となります。

 

死亡後に振り込まれた公的年金も遺族のものであり、相続税の課税対象にはなりません。死亡した人の口座に振り込まれるため課税対象になるように思われますが、先ほど説明したケースと考え方は同じです。

 

なお、遺族が手続きをせずに死亡の翌月分以降の年金を受け取った場合は、返還を求められることがあります。相続があった場合は年金関係の手続きも速やかに済ませましょう。

 

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本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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