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在宅医療は自分らしい人生の終わり方の選択肢
この施設は、サービス付き高齢者住宅の形態ですが、24時間看護師と介護士が常駐していますので、医療と介護を常時必要とされる方でも安心して過ごしていただけます。
「住宅」ですので、お気に入りの家具や絵画、大画面のテレビ、使い慣れたお布団などを持ち込んでいただき、ご自宅っぽい空間にしていただくことが可能です。全室IHキッチンを完備しているので、ご家族の手料理をできたてで食べていただくこともできますし、車椅子のまま使用できますので、ご自身でお料理されている方もいらっしゃいます。
コロナ禍以前は、お誕生日にご家族がお部屋で集まってすき焼きパーティーをしたり、10人近くのご家族が布団を敷き詰めて、泊まり込みで最期を見送ったこともありました。
■「自分らしい人生」を支えるお手伝い
全国的に施設の数は増えてきましたが、施設に入れることを後ろめたく感じてしまうご家族は少なくありません。どこで過ごしたにせよ、最期に「ぼちぼち、よかったね」と思えれば、それがご本人にとってもご家族にとってもベストなのではないかと思います。後悔が全くないところを目指すと窮屈になるかもしれませんので、「ぼちぼち」くらいがいいのかな、と私は考えています。
施設に入った場合でも、家族の余裕がある時間にゆっくり会いに行き、そこで一緒に過ごすほうがうまくいく場合もあるはずです。
私自身も母を施設で看取りましたが、母にとっての最善と、残される自分が後悔しないためのあらゆる方法を考えて決断しました。振り返っても、互いに納得できる最期の過ごし方だったと思えます。
日々の療養生活にも、病気が進んだときや最期のときにも、過ごし方に決まった答えはありません。答えが一つではないのです。ご本人の価値観やご家族の環境など、さまざまな因子が複雑に絡みあって、その方らしい選択が決まり、その選択そのものがその方やご家族にとって正解になります。そして、その選択を支えていくのが、私たち在宅医療・在宅ケアに携わる者の使命だと思っています。
より多くの方に在宅医療について知っていただくことで、自分らしい人生の終わり方の選択肢を、一つ増やしていただきたいと思うのです。
中村 明澄
在宅医療専門医
家庭医療専門医
緩和医療認定医
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