自宅療養か、病院・介護施設か…親の逝き方を選ぶ家族の苦悩【在宅医が解説】 (※画像はイメージです/PIXTA)

自分らしい逝き方を叶える第一歩は患者さん自身や家族が「こうしたい」という思いだといいます。しかし、家族にとっては簡単に決められることではありません。※本連載は中村明澄著『「在宅死」という選択』(大和書房)より一部を抜粋し、再編集した原稿です。

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「在宅医療」を考えるタイミングとは

①通院が難しくなってきたとき

 

通院が難しくなってきたと感じたら、まず通院先のかかりつけの先生にご相談してみてください。ご本人は「まだ大丈夫」と思われることが多いですが、ご家族などが「通院はもうむずかしいんじゃないかな」と判断したときが、在宅医療を考えるタイミングです。

 

②がんの終末期のとき

 

がんの終末期では、通院がまだ難しくない状態でも、主治医から在宅医療の話が出ることがあります。これは、がんの病気の特性上、急に状態が変化する可能性があるためです。

 

【図】からもわかるように、がんの場合は、ぎりぎりまで、体の機能が維持できていて、機能が低下しはじめてから亡くなるまでの期間が、他の病気と比べるととても短くなっています。今までと同じように動けなくなってきてから亡くなるまでの期間は、数週間から2か月程度と言われています。

 

そのため、通院が難しくなってから在宅医が関わると、数週間、場合によっては数日ということもあるため、できるだけ自宅で過ごすことを考えているなら、通院できるうちから早めに在宅医療を勧められることがあります。

 

③「やっぱり家に帰りたい」とき

 

入院しているけれど、悩みに悩んで、ギリギリの状態で「やっぱり家に帰りたい」と意向がまとまることもあります。

 

十分な準備をして退院したいところではありますが、残された時間が少ないときは、その願いを叶えることを優先し、即日退院手続きをとって、その日に在宅医療の初診に入ることもあります。

 

「自宅で療養したい」「自宅で最期を迎えたい」という思いを支える仕組みは、すでにできています。意思表示があれば、その希望を何とか叶えていこうというのが、いまの在宅医療です。

 

もし「やっぱり家にいたい」「家に帰りたい」という思いがあるのなら、まずは「私の状態でも、家で過ごすことができますか?」と、病院の相談室に聞いてみることからはじめてみてください。その一歩が、ご自分らしい人生、ご自分らしい最期を叶える大きなきっかけになるはずです。

 

Lynn J. Serving patients who may die soon and their families. JAMA. 2001; 285: 925-32
【図】亡くなるまでの経過 Lynn J. Serving patients who may die soon and their families. JAMA. 2001; 285: 925-32

 

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在宅医療専門医
家庭医療専門医
緩和医療認定医

2000年東京女子医科大学卒業。国立病院機構東京医療センター総合内科、筑波大学附属病院総合診療科を経て、2012年8月より千葉市の在宅医療を担う向日葵ホームクリニックを継承。2017年11月より千葉県八千代市に移転し「向日葵クリニック」として新規開業。訪問看護ステーション「向日葵ナースステーション」、緩和ケアの専門施設「メディカルホームKuKuRu」を併設。緩和ケア・終末期医療に力をいれ、年間100人以上の患者の方の看取りに携わっている。病院、特別支援学校、高齢者の福祉施設などで、ミュージカルの上演をしているNPO法人キャトル・リーフも理事長として運営。著書に『「在宅死」という選択 納得できる最期のために』(大和書房)がある。

著者紹介

連載「在宅死」という選択で自分らしい生き方と逝き方を探る

「在宅死」という選択~納得できる最期のために

「在宅死」という選択~納得できる最期のために

中村 明澄

大和書房

コロナ禍を経て、人と人とのつながり方や死生観について、あらためて考えを巡らせている方も多いでしょう。 実際、病院では面会がほとんどできないため、自宅療養を希望する人が増えているという。 本書は、在宅医が終末期の…

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