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「在宅医療」を考えるタイミングとは
①通院が難しくなってきたとき
通院が難しくなってきたと感じたら、まず通院先のかかりつけの先生にご相談してみてください。ご本人は「まだ大丈夫」と思われることが多いですが、ご家族などが「通院はもうむずかしいんじゃないかな」と判断したときが、在宅医療を考えるタイミングです。
②がんの終末期のとき
がんの終末期では、通院がまだ難しくない状態でも、主治医から在宅医療の話が出ることがあります。これは、がんの病気の特性上、急に状態が変化する可能性があるためです。
【図】からもわかるように、がんの場合は、ぎりぎりまで、体の機能が維持できていて、機能が低下しはじめてから亡くなるまでの期間が、他の病気と比べるととても短くなっています。今までと同じように動けなくなってきてから亡くなるまでの期間は、数週間から2か月程度と言われています。
そのため、通院が難しくなってから在宅医が関わると、数週間、場合によっては数日ということもあるため、できるだけ自宅で過ごすことを考えているなら、通院できるうちから早めに在宅医療を勧められることがあります。
③「やっぱり家に帰りたい」とき
入院しているけれど、悩みに悩んで、ギリギリの状態で「やっぱり家に帰りたい」と意向がまとまることもあります。
十分な準備をして退院したいところではありますが、残された時間が少ないときは、その願いを叶えることを優先し、即日退院手続きをとって、その日に在宅医療の初診に入ることもあります。
「自宅で療養したい」「自宅で最期を迎えたい」という思いを支える仕組みは、すでにできています。意思表示があれば、その希望を何とか叶えていこうというのが、いまの在宅医療です。
もし「やっぱり家にいたい」「家に帰りたい」という思いがあるのなら、まずは「私の状態でも、家で過ごすことができますか?」と、病院の相談室に聞いてみることからはじめてみてください。その一歩が、ご自分らしい人生、ご自分らしい最期を叶える大きなきっかけになるはずです。