「亡くなる瞬間は、本人が選んでいるという気がしています。」【在宅医が解説】 (※画像はイメージです/PIXTA)

看取りは「最期の瞬間に立ち会うことが、いちばん大事なことではない」と在宅医は語ります。大切なのは、その人と一緒に過ごしてきた時間のほうだといいます。在宅医が著書『「在宅死」という選択』(大和書房)で看取りの作法を解説します。

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臨終のときに、先生は来てくれますか?

■看取りは家族だけの大切な時間

 

ご自宅で亡くなるときには、その最期の瞬間に医師や看護師が立ち会うことは少なく、ご家族だけで看取ることがほとんどです。そして、ご家族から、呼吸がとまった連絡を受けてから訪問し、死亡確認を行ったあと、死亡診断書をお渡しします。この流れで法律的にもまったく問題はありません。

 

ご家族だけで看取ると聞くと心配になる方もいらっしゃるかもしれないのですが、ご家族には、あらかじめ、これから起こりうる体の変化、また、亡くなる直前の呼吸の変化などについてお伝えし、心の準備をしていただくようにしています。

 

残された時間が週~日単位になってくると、声をかけると目をあけて会話もできますが寝ている時間が長くなってきて、食事量が減ってきます。

 

また、尿の量が少なくなってきて、つじつまの合わないことを話すようなことも出てきます。少し興奮気味に寝返りをうったり、手足を動かすこともあります。つじつまが合わないお話をされたり興奮気味になってつらそうなときには、お薬でつらさをとることができます。

 

残された時間が日~時間単位になってくると、声をかけても目を開けなくなってきます。ハーハーと呼吸が大きく荒くなってきて、10~20秒程度一時的に呼吸が止まることがあります。一時的に呼吸が止まると、そのあとはより大きくハーハー呼吸をして、また止まるということを繰り返します。

 

さらに最期のときが近づいてくると、肩を動かす呼吸になってきて、だんだんと口も一緒に動く呼吸になってきます。この頃にのどがゴロゴロすることがありますが、お顔が穏やかで、眉間にシワがよってなければ苦しくありません。

 

下顎呼吸といわれるあごを上下させるようになってきたら、最期のときがとても近くなっています。手を握り返したり、言葉を発したりすることはもうありませんが、耳は聞こえていますから、お話をつづけながら見守るのがいいと思います。

 

最期の瞬間はとても大切な時間ですから、そこで慌てて医師や看護師を呼ぶ必要はまったくありません。お声がけしながら、呼吸が止まるのを見守っていただいた後、訪問看護ステーションもしくは在宅医(そのとき、お伝えされている緊急連絡先)に連絡してください。急ぐ必要はありません。

 

以前に一度だけ、患者さんが夜中に亡くなった翌朝に、ご家族から連絡をいただいたことがありました。「いやあ、先生も忙しいし起こしちゃ悪いと思ってよ。もう死んじまったから急ぐことはねぇと思って、朝までみんなでじいちゃんに祝杯あげてやってたんだ」と息子さんからの連絡でした。

 

お酒が大好きだったご本人へのご家族の素敵なお見送りだったと思います。普段は、呼吸が止まったときにご連絡をいただいて訪問しますが、この場合も法律上はまったく問題ありません。

 

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在宅医療専門医
家庭医療専門医
緩和医療認定医

2000年東京女子医科大学卒業。国立病院機構東京医療センター総合内科、筑波大学附属病院総合診療科を経て、2012年8月より千葉市の在宅医療を担う向日葵ホームクリニックを継承。2017年11月より千葉県八千代市に移転し「向日葵クリニック」として新規開業。訪問看護ステーション「向日葵ナースステーション」、緩和ケアの専門施設「メディカルホームKuKuRu」を併設。緩和ケア・終末期医療に力をいれ、年間100人以上の患者の方の看取りに携わっている。病院、特別支援学校、高齢者の福祉施設などで、ミュージカルの上演をしているNPO法人キャトル・リーフも理事長として運営。著書に『「在宅死」という選択 納得できる最期のために』(大和書房)がある。

著者紹介

連載「在宅死」という選択で自分らしい生き方と逝き方を探る

※本連載は中村明澄氏の著書『「在宅死」という選択』(大和書房)より一部を抜粋し、再編集した原稿です。

「在宅死」という選択~納得できる最期のために

「在宅死」という選択~納得できる最期のために

中村 明澄

大和書房

コロナ禍を経て、人と人とのつながり方や死生観について、あらためて考えを巡らせている方も多いでしょう。 実際、病院では面会がほとんどできないため、自宅療養を希望する人が増えているという。 本書は、在宅医が終末期の…

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