(※写真はイメージです/PIXTA)

ある女性は、中年になってから出会った親友と同居生活を送っていました。しかし、親友の持病が悪化。病床の親友は、疎遠だったひとり娘を呼ぶと「全預貯金を親友に」と心情を語り、同じ内容のメモを見せました。納得したかに見えた娘ですが、親友の死後、態度を急変させます。相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が、実際に寄せられた相談内容をもとに解説します。

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「疎遠な娘より、長年支えてくれた親友に財産を…」

今回の相談者は70代女性の秋本さんです。長年同居してきた方の遺産を相続する方法がないか知りたいと、相談に見えました。

 

 

秋本さんは独身で子どももなく、専門学校を卒業後、服飾関係の販売員として働きながらひとり暮らしをしてきました。50代になってから、趣味を通じで知り合った同世代の馬場さんという女性と意気投合し、姉妹のように親しくなったそうです。

 

馬場さんは夫と娘の3人暮らしでしたが、家族関係があまりよくありませんでした。あるとき、夫と娘の暴言に耐えかねた馬場さんは家を飛び出し、秋本さんのところに逃げ込んできました。

 

一時的な同居のつもりでしたが、ふたりで生活してみると驚くほど快適だったといいます。住む場所を得た馬場さんは、その後夫と離婚。娘も数年後に他県の人と結婚したことで、交流はほぼ途絶えました。

 

女性ふたりの楽しい生活は約20年続きましたが、ここ数年、馬場さんは若いときから抱えていた持病が悪化して入退院を繰り返し、残念ながら数ヵ月前に亡くなってしまいました。

 

馬場さんの療養中、秋本さんは、通院の付き添いや入退院の手続き、自宅に戻ってからの介護など、本当の姉妹のように尽くしてきました。馬場さんの娘には電話等で連絡をしましたが、舅姑の介護を理由に、ほとんど顔を見せることもありませんでした。

 

馬場さんは、亡くなる1ヵ月前に娘を呼び寄せ、秋本さんの前で「預金の全額を秋本さんに差し上げます」と書いたメモを見せたそうです。ずっと身近なところで支えあってきた秋本さんへの感謝の気持ちだとも言葉を付け加えました。そのときは、馬場さんの娘も非常に神妙な面持ちで、

 

 

「秋本さん、本当にありがとうございます。母の気持ちを大切にします」

 

と、涙を浮かべながら深く頭を下げたそうです。

 

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本記事は、株式会社夢相続が運営するサイトに掲載された相談事例を転載・再編集したものです。

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