(※写真はイメージです/PIXTA)

ある女性は、中年になってから出会った親友と同居生活を送っていました。しかし、親友の持病が悪化。病床の親友は、疎遠だったひとり娘を呼ぶと「全預貯金を親友に」と心情を語り、同じ内容のメモを見せました。納得したかに見えた娘ですが、親友の死後、態度を急変させます。相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が、実際に寄せられた相談内容をもとに解説します。

「もちろん振り込みます。口座番号を教えてください」

秋本さんは60代半ばまで働いて生活費を出し、その間は馬場さんがすべて家のことをやるという役割分担で、双方不満なく暮らしていました。また、退職後はふたりの年金を合わせて生活費や治療費等をやりくりしていたため、馬場さんの預貯金1200万円は、ほぼ手つかずで残っていたのです。

 

 

馬場さんも、2人の前で娘が快諾したことで、このメモが遺言書代わりになると考え、安心していました。

 

その後、馬場さんは亡くなりました。秋本さんは馬場さんの娘とふたりで、自宅に残った馬場さんの遺品整理を行いました。秋本さんは勇気を出して「馬場さんの預金のことなのだけど…」と切り出すと、娘は笑顔で「もちろんです、解約して振り込みます。おばさまの口座番号を教えてください」と紙とペンを差し出しました。

 

秋本さんは口座番号を書いて渡すと、娘はそのまま家頭を下げ、秋本さんの自宅をあとにしました。

 

しかしその後、娘からは「口座が凍結されてしまった」という連絡があったきり、お金が振り込まれることはありませんでした。不審に思った秋本さんが調べると、相続人が1人の場合に口座が凍結されることはないとわかり、生前に馬場さんが残したメモを手に、なにか解決方法がないかと、筆者の事務所を訪れたのでした。

 

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本記事は、株式会社夢相続が運営するサイトに掲載された相談事例を転載・再編集したものです。

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