最近、タワーマンションの材料や工法が斬新すぎて、普通のマンションの修繕・管理のメソッドが当てはまらないことが問題になっています。作家の山岡淳一郎氏の『生きのびるマンション 〈二つの老い〉をこえて』(岩波新書)より、タワーマンションの問題点について一部抜粋・編集し、解説します。

タワマンの修繕…5階~8階と15階には要注意!

「建築構造的にみて、東日本大震災で、このタワーマンションの上層はあまり変形していません。変形したのは5階、6階、7階、8階と、15階あたり。そこのひびは多く見積もったほうがいい。逆に他の階は少なくていい。そういう構造上の負荷がかかっているんです」

 

超高層の外壁修繕で、しばしば話題に上るのが、作業用の仮設足場の組み方です。風の強い高所に足場を設けて作業をするのは危険が伴います。壁面にゴンドラを吊って作業をするシステムが一般化しています。

 

ただ、摩天楼に似た尖塔(せんとう)型や、東京都庁舎のように凹凸の多い超高層建物はゴンドラを吊りにくく、てっぺんに登って作業をする命知らずの職人もそうそういません。

 

別の方法を編み出さなくてはならず、足場もオーダーメイドの対応が求められています。コストだけを考えれば、14階あたりまで仮設足場を組み、それ以上の階をゴンドラでカバーするのが妥当といわれます。

 

しかし、このタワーマンションでは足場は最高で5階まで、ほとんどをゴンドラ作業で行うと決めました。

 

「足場を高くしなかったのは、安全重視だけでなく、住民への圧迫感を考慮したからです。足場を高く組んだら低層階のお宅はずーっと長い間、窓の向こうを塞がれてセキュリティの問題も出てきます。

 

防犯カメラをつけても、足場があれば上ってこられますからね。ベランダの防水工事では、各戸に置いてある植栽を事前に片づけてもらうのに苦労しました。自室に入れるか、共同の仮置き場に持っていけばいいのだけど、留守があるでしょ。

 

いついつ防水工事が入るのでカーテン閉めてください、と通知しても、植木は出しっ放し。たかが植木と思うかもしれませんが、勝手に動かせないし、作業は滞るし、周知徹底に骨が折れます」

 

と、橋本氏は述べました。

 

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生きのびるマンション 〈二つの老い〉をこえて

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山岡 淳一郎

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建物の欠陥、修繕積立金をめぐるトラブル、維持管理ノウハウのないタワマン……。さまざまな課題がとりまくなか、住民の高齢化と建物の老朽化という「二つの老い」がマンションを直撃している。廃墟化したマンションが出現する…

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