東京都豊島区が「狭小住戸集合住宅税条例(ワンルームマンション税)」を施行し、マンションの建設規制を図った事例を、作家の山岡淳一郎氏の『生きのびるマンション 〈二つの老い〉をこえて』(岩波新書)より一部を抜粋・編集して解説します。

安易な「規制緩和」でマンションが建ちまくった日本

日本では1度決定した都市計画が安易な規制緩和で骨抜きにされてきました。容積率が緩められ、超高層があちこちに建つ。あるいは地域に負荷を強いるワンルームが集中してしまう。都市計画の歯止めがきかないのです。

 

そうした日本にあって、マンション規制の先鞭をつけたのは東京都豊島区でした。豊島区は、全住宅の8割以上が分譲マンションを含む共同住宅です。世帯構成も非常に偏っており、全世帯の56パーセントが単身者なのです。しかも広さ30平米に満たない狭小の集合住宅が全住宅の約4割を占めています。

 

豊島区では、池袋駅周辺にワンルームマンションが大量に建設されてきました。JRと私鉄が乗り入れる池袋駅は交通の便が良く、学生や独身会社員が集まります。彼らはワンルームに賃貸で入り、隣近所とのつき合いはなく、短期間そこで暮らしてどこかへ移ります。

 

(写真はイメージです/PIXTA)
(写真はイメージです/PIXTA)

 

ワンルームは節税用の投資物件が主で、所有者はばらばらです。管理組合の活動は低調で、賃借人が退出したら管理費を滞納する所有者も少なくありません。少子化でワンルームの需要は減っていきます。

 

家族世帯が居住したくても豊島区には良質な住宅が足りません。長い目でみるとワンルームはスラム化の火種でした。豊島区は英断を下します。

 

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