「家賃滞納は普通の人が堕ちる破滅への入り口である。」……2500件以上の家賃滞納トラブルを解決してきた、OAG司法書士法人代表の太田垣章子氏。同氏は書籍『家賃滞納という貧困』(ポプラ社)のなかで、その悲惨な実態を明かしている。
2週間経ち「明け渡し当日」…そこに、父の姿は
そこから2週間ほどして明け渡しの判決が言い渡された頃、沙織さんは勤め先の社長が連帯保証人になってくれた部屋に引越しをしていきました。
国選弁護士も、立ち会ってくれました。でもそこに郁夫さんの姿はありませんでした。
自分の感情を上手にコントロールできない子どもの頃に道を踏み外してしまったことで、なかなか本来の道に戻れぬまま大人になってしまった雄一さん。本人はがんばろうとしても、世間からも、そしていちばん大切な家族からもどこか冷めた目で見られてしまうことのやるせなさが、雄一さんを薬物に走らせてしまったのかもしれません。唯一、心を許した沙織さんの優しさをもってしても、親に愛されたかったという心の溝は埋められなかったのでしょうか。
今度こそ、沙織さんとふたりで、心穏やかに暮らしていって欲しい、心からそう思いました。
※本記事で紹介されている事例はすべて、個人が特定されないよう変更を加えており、名前は仮名となっています。
太田垣 章子
OAG司法書士法人代表 司法書士
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OAG司法書士法人代表 司法書士
株式会社OAGライフサポート 代表取締役
30歳で、専業主婦から乳飲み子を抱えて離婚。シングルマザーとして6年にわたる極貧生活を経て、働きながら司法書士試験に合格。
登記以外に家主側の訴訟代理人として、延べ2500件以上の家賃滞納者の明け渡し訴訟手続きを受託してきた賃貸トラブル解決のパイオニア的存在。
トラブル解決の際は、常に現場へ足を運び、訴訟と並行して賃借人に寄り添ってきた。決して力で解決しようとせず滞納者の人生の仕切り直しをサポートするなど、多くの家主の信頼を得るだけでなく滞納者からも慕われる異色の司法書士でもある。
また、12年間「全国賃貸住宅新聞」に連載を持ち、特に「司法書士太田垣章子のチンタイ事件簿」は7年以上にわたって人気のコラムとなった。現在は「健美家」で連載中。
2021年よりYahoo!ニュースのオーサーとして寄稿。さらに、年間60回以上、計700回以上にわたって、家主および不動産管理会社向けに「賃貸トラブル対策」に関する講演も行う。貧困に苦しむ人を含め弱者に対して向ける目は、限りなく優しい。著書に『2000人の大家さんを救った司法書士が教える 賃貸トラブルを防ぐ・解決する安心ガイド』(日本実業出版社)、『家賃滞納という貧困』『老後に住める家がない!』(どちらもポプラ新書)がある。
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連載GGO大ヒット連載ピックアップ~『家賃滞納という貧困』