フィリピンが「世界一の投資適格国」といわれる理由
2020年の世界経済・株式市場は、コロナウィルス問題で大暴落しました。その後各国の中央銀行の大規模金融緩和政策や各国政府の大規模財政出動、そしてワクチン開発により回復局面に入り、先進国においては、株価がコロナ前の水準をはるかに超えて過去最高値水準にまで到達して2020年を終えました。2021年に入っても調整局面はありましたが、ニューヨークダウ、S&P500、ナスダックなどの米国市場は過去最高値を更新し、日経平均も30年ぶりに3万円の大台に乗せ、さらに上昇を伺う展開になっています。
一方フィリピン株式市場については、2020年10月の終わりころから、株価は力強い回復基調に入ってきました。2021年に入ってコロナ感染者数の下げ止まり傾向などもあり、上昇圧力に弱まっていますが、フィリピン経済の基本的な経済力(ポテンシャル・ファンダメンタルズ)あるいは過去の株価水準と比して未だ割安・バーゲン価格の状態が続いています。
このような経済・市場の混乱期に、多くの投資家は割安になった資産にしっかり投資して、これまで歴史上繰り返されて来た市場の回復(リバウンド)によって大きな利益を上げてきました。
フィリピンは、世界最大・最長の人口ボーナスによって大きな経済成長を実現し、多くの専門機関が今後も長期で世界トップクラスの成長が続いていくと見ています。また、英語圏という強みを生かして海外投資が入りやすく、DX関連ともいえるBPOなどのアウトソーシング産業やドテルテ政権の目玉政策・”Build Build Build, Link Link Link”という巨大交通インフラ開発が経済成長の強力なドライバーになっています。
このような長期的な経済成長ポテンシャルの大きいフィリピンで、株や債券に投資して、日本が1960年代から1980年代に経験したような高度経済成長を取り込んでいくというタイムスリップ投資こそフィリピン株式投資の醍醐味です。
円・フィリピンペソの為替ですが、もちろん海外投資ではどうしても為替リスクは避けられません。ペソは2012年に1.7円程度の最安値をつけたあと、2015年に2.8円程度まで高騰していましたが、その後緩やかに下落し、現在は2.2円程度で推移しています。
長期でみると、ペソはおおむね2円~2.7円程度のレンジで動いていること、また、一般的に通貨の強さは国の経済力に比例するのが原則であることを考え合わせると、現在はおおむね安値圏であり、今後ペソが長期的に下落していくことは考えにくく、長期的に見れば、今後はペソ高傾向になるのではないでしょうか。そうなれば、それは日本の投資家にとっては、株式投資の利益に加えて、為替差益ももたらしてくれます。
また、フィリピンペソのファンダメンタルズについていうと、OFWの存在が欠かせません。OFWとは海外で働くフィリピン人のことですが、前述したフィリピンの強みである英語力と親しみやすい性格などによって多くのフィリピン人がアメリカを中心とする欧米諸国、ドバイ、サウジアラビアなどの中東諸国また日本などで多種多様な業種(医者・弁護士、介護士、メイドなど)で仕事をしています。そして彼らがフィリピンにいる親族に送金します。これがフィリピンのGDPの10%程度あり、これが常時フィリピンペソ買い圧力になるという構造的な為替安定要因があります。
英語がフィリピンの強みであるという話をしましたが、実際にOFWを通してGDPの数字にも反映されているわけです。このOFWが英語を強みとするアウトバンド需要の取り込みとすると、BPOは英語力を生かしたインバンド需要の取り込みといえます。このBPO産業もフィリピンGDPの約10%を稼ぎ出しているわけです。
BPO産業は幅広い事業を含んでいますが、フィリピンが特に強いのが、その英語力を生かしたコールセンターです。欧米特にアメリカの大手IT、金融、メーカーがフィリピンに巨大な拠点を有しています。コールセンター以外には、システム開発、ビッグデータ解析、映像・アニメなどのコンテンツ作成、CADセンター、経理・財務などバックオフィスのシェアードサービスセンター、オンライン英会話など多種に渡っています。このBPO産業も世の中のDX化の流れに乗ってさらに需要が高まるといわれています。
以上のような世界とフィリピン経済の状況を鑑みると、いまフィリピン株のような安く優良な資産を仕込み、長期的な経済成長を取り込みながら、国際分散投資を実現する大きなチャンスといえます。株価回復基調に入ってきているものの、長期的な視点ではまだまだ安値の買い場となっているのがフィリピン株式市場です。このように魅力溢れるフィリピン株投資について、この後深掘りしていきます。
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