トランプ米大統領による高関税政策、「フィリピン」最大18.9億ドルの輸出損失に直面か?

2月17日週「最新・フィリピン」ニュース

トランプ米大統領による高関税政策、「フィリピン」最大18.9億ドルの輸出損失に直面か?
写真:PIXTA

一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングのエグゼクティブディレクターの家村均氏がフィリピンの現況を解説するフィリピンレポート。今週はトランプ米国大統領による高関税政策の発動に伴うフィリピンへの影響やフィリピンの政策課題について解説していきます。

高関税政策で損失を被るセクターと、恩恵を受けるセクター

フィリピンは、トランプ米大統領が進める高関税政策によって、主に機械や電気機器の輸出が影響を受けると見られ、最大18.9億ドル(約1,076億ペソ)の輸出損失に直面する可能性があります。

 

高関税の影響を受ける製品の多くは現在、米国の関税がほとんどまたはまったくかかっていないため、関税の引き上げが大きな影響を及ぼす可能性があります。最も影響を受けるのは、ディスク、テープ、フラッシュメモリなどの記録媒体で3億8,670万ドルの減少予測。ほか、ココナッツおよびパーム油の輸出は3億7,450万ドル減、自動データ処理機器は1億8,760万ドルの減、電気変圧器や静止型変換器、インダクターなどの電子機器は1億4,350万ドル減、電話機やスマートフォンなどの通信機器は1億3,000万ドルの減少が予測されています。その他、電子集積回路(9,782万ドル)、機械部品や付属品(7,700万ドル)、絶縁ワイヤーやケーブル(7,400万ドル)、モニターやプロジェクター(6,400万ドル)、甲殻類や軟体動物などの水産物(6,300万ドル)も影響を受ける可能性があります。

 

一方で、関税政策による貿易転換の効果により、一部の製品では輸出が増加する可能性が指摘されています。特に衣料品や履物の輸出においては、米中貿易戦争時に恩恵を受けることが期待されています。ただし、その貿易転換による利益は比較的控えめなものにとどまると考えられています。

 

フィリピンの輸出で最も大きな貿易転換の恩恵を受けると予測されているのは、レーザー機器で3,730万ドルの増加。座席部品の輸出は1,820万ドル増、スーツやジャケット、ズボン、ドレスなどの衣料品が1,730万ドル増、カジュアル衣料品(ジャージーやカーディガンなど)が1,700万ドル増、女性用のスカートやズボンも1,300万ドルの増加が予測されています。

 

フィリピンは、米国の関税政策による影響を最小限に抑えるために、輸出市場の多様化を進める必要とされ、他の国々との貿易関係を強化し、新たな市場を開拓することが求められています。また、米国市場への優先的アクセスを追求することも重要であると指摘されています。

 

特に求められているのは。中国やインド、インドネシアなどの市場における貿易転換の機会を活かすこと。輸出が大きく影響を受ける主要5品目(記録媒体、ココナッツ、データ処理機器、電気変圧器、電話機)について、中国、香港、ドイツが主要な輸入国であるため、これらの市場において貿易投資ミッションを強化し、貿易協定の締結を模索することがフィリピンにとって有益であると考えられています。

 

注目のセミナー情報

【資産運用】4月12日(土)開催
毎年8%以上の値上がり実績と実物資産の安心感
「アーガイル産ピンクダイヤモンド投資」の魅力

 

​​【資産運用】4月16日(水)開催
富裕層のための資産戦略・完全版!
「相続」「介護」対策まで徹底網羅
生涯キャッシュフローを最大化する方法

次ページ米トランプ大統領に翻弄…フィリピンがすべきこと

※当記事は、情報提供を目的として、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングが作成したものです。特定の株式の売買を推奨・勧誘するものではありません。
※当記事に基づいて取られた投資行動の結果については、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティング、幻冬舎グループは責任を負いません。
※当記事の比較するターゲット株価は、過去あるいは業界のバリュエーション、ディスカウントキャッシュフローなどを組み合わせてABキャピタル証券のプロアナリストが算出した株価を参考にしています。

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録