ある日突然、老親が緊急搬送で入院という事態が起こります。介護は毎日のことなので、使命感だけでは長続きはしません。10年以上、仕事をしながら父母の遠距離介護を続けてきた在宅介護のエキスパートは、「介護する人が幸せでなければ、介護される人も幸せにはならない」と訴えます。入院や介護に備え、知っておきたい制度やお金の話から、役立つ情報、具体的なケア方法までを明らかにします。本連載は渋澤和世著『親が倒れたら、まず読む本 入院・介護・認知症…』(プレジデント社)から抜粋し、再編集したものです。

介護が始まらないと分からない親や家族との相性

エピソード

 

私が感じている良いケアマネージャーは、その家庭の生活環境や親の状態や性格を把握して適切な介護サービスを提案してくれる、要望などの話をよく聞いてくれる、仕事が早い人です。地域包括支援センターに出向いて事業所リストをもらう際、お薦めの事業所をこっそり聞いてみましょう。

 

私の場合、地域包括支援センターから、「良いケアマネージャーですよ」と言われて紹介された人は悪くはなかったのですが、親や自分と相性が良いかは始まらないとわかりませんでした。ただ、女性が良いか、男性が良いか、資格は看護師が良いか、介護関係が良いか、その他でも良いか、年配で経験豊富が良いか、若くて体力があるタイプが良いか、などの希望は最初に伝えても良いでしょう。

 

担当のケアマネージャーが決まってからでは遅いので地域包括支援センターに出向いたとき、または事業所に自分が連絡をとるなら先に伝えておきましょう。担当となったケアマネージャーには、現在の親や家庭の情報を提供してケアプランを作成してもらいます。面談の際に伝えたい内容としては、介護費用はいくら出せるか、サービスが必要なのはどの時間帯か(1日単位、週単位)など。

 

ここでの注意点は、家族が自由になれる時間も確保してください。家にいる時間は全部自分でやろうとしなくても良いのです。次に、ケアマネージャーから紹介された事業所(デイサービス、デイケアなど)を見学します(可能であれば親も一緒に、無理なら子だけでも)。フロアの第一印象、親を預けても良いと思えたか、1日の流れ、レクリエーションなどの取り組み、職員の態度、などを確認してください。何か所か紹介されるので見学してみて、これだと思うところがあれば、そこが気に入ったことを伝えてください。

 

費用を少しでも抑えたいときは、ショートステイの個室を多床室にするとか、デイサービスの時間を短くするとかで加算料金を見直すこともできます。そして、事業所もケアマネージャーも変更が可能です。自分の意見を押し付けたり、営業臭がしたり、市町村や地域の状況に詳しくないなどは残念なケアマネージャーです。その場合は、事業所内の他のケアマネージャーに変更するか、事業所ごと他に変えても良いのです。

 

 

 

渋澤 和世
在宅介護エキスパート協会 代表

 

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親が倒れたら、まず読む本 入院・介護・認知症…

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渋澤 和世

プレジデント社

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