認知症母の介護…要介護3までは精神的、以降は肉体的負担が

ある日突然、老親が緊急搬送で入院という事態が起こります。介護は毎日のことなので、使命感だけでは長続きはしません。10年以上、仕事をしながら父母の遠距離介護を続けてきた在宅介護のエキスパートは、「介護する人が幸せでなければ、介護される人も幸せにはならない」と訴えます。入院や介護に備え、知っておきたい制度やお金の話から、役立つ情報、具体的なケア方法までを明らかにします。本連載は渋澤和世著『親が倒れたら、まず読む本 入院・介護・認知症…』(プレジデント社)から抜粋し、再編集したものです。

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「寝たきり老人」がいない福祉先進国との差

同居介護 母…要介護5

 

デンマークやスウェーデンなどの福祉先進国に寝たきりはいないという。日本は安全を優先し(というかその方が楽だから)、寝かせきりにしているのだという。それが寝たきりという言葉の本当の意味だと思う。

 

母は圧迫骨折以来、寝かせきりにしておけば寝たきりになるが、平日は小規模多機能で車いすでも起きているし、土曜はリハビリで外出。日曜日は寝ているときもあるが、ごくたまに外出することもある。

 

ある日、主人が車を買い替えたいと言い出した。今までエスティマだったがどうしても乗り換えたいらしい。まさか母が圧迫骨折をするとは思わなかったので運悪くというか、ランドクルーザーを選んでしまっていた。歩けるときなら少し高い位置に座席シートがある車だが問題なく乗れたはず、だが圧迫骨折後は違う。だからと言って高いお金(予定以上)を出して買った車を更に買い替える選択肢はゼロである。

 

それならば、何とかして母を乗せなければならない。まず母をドア付近まで車いすで連れて行き、下から足を私が支え、上から主人が引き上げる。周りから見るとまるで人さらいのようだ。女性だから持ち上がるのだが、何とかなるものだ。車いすであっても福祉車両など特別な車を準備しなくても十分にドライブや外出が楽しめる。

 

福祉用具のレンタルは1割負担で手軽だが、本当に必要か考えるべきという。(※画像はイメージです/PIXTA)
福祉用具のレンタルは1割負担で手軽だが、本当に必要か考えるべきという。(※画像はイメージです/PIXTA)

 

いつの日か、ふと思った。そういえば耳掃除ってずっとしていないよね。母は耳かきを使いよく掃除をしていたが、いつの日からか自分ではしなくなっていた。耳垢がつまると聴力が低下するが、それが原因で会話が難しくなることもあるらしい。

 

会話が減ると刺激がなくなり認知機能も低下する。本来なら耳鼻咽喉科に定期的に行って掃除をしてもらえば良いのかもしれないが、赤ちゃんと一緒で耳垢を柔らかくする薬を注入して、数日後に再度外来というように受診が一度ではすまない。以前、咳で耳鼻咽喉科にかかったついでに耳を診てもらったが、「鼓膜が見えるから大丈夫」と言われ、掃除はしてくれなかった。

 

自宅で寝かせながら耳に蛍光灯の光が入るよう、見やすくして掃除するのだが見えにくいときもある。たまたま、リハビリに向かう途中、信号で待っていると太陽の方向とタイミングが合い、耳の中が奥まで非常によく見えた。今なら確実にとれると思ったが綿棒がない。それ以降、病院に行くときは必ず綿棒をバッグにいれている。というか診察ケースに一緒に入っている。

「在宅介護エキスパート協会」代表

1964 年、静岡市生まれ、川崎市育ち。NEC 関連会社(現職)でフルタイム勤務の中、10 年以上に渡り遠距離・在宅介護を担う。両親の介護をきっかけに社会福祉士、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナーなど福祉に直接的・間接的に関係する資格を取得。その経験や知識を多くの方に役立てていただけるよう「在宅介護エキスパート協会」を設立、代表を務める。
2人の子どもに恵まれるも、両親が同時期に脳血管障害、認知症、骨折、肺炎で入退院を繰り返す。長年にわたり仕事、子育て、介護(遠距離介護4年・在宅介護8年)の「トリプルワーク」を経験。仕事をしながらの育児、介護にストレスが極限にまで達し、介護疲れを起こす。書籍や情報サイトなどを頼るも、「介護の常識」は、仕事や育児との両立をしている人にとっては、全てこなすことなど到底できない理想論であることを痛感する。その後、「自分でもできる介護」を自力で確立することを決意。アイデア発想講師としての知識を生かし、それまでの「完璧な介護」から「自滅せず親も家族も幸せになる介護」へと発想の視点を変え、現代人のための介護思考法を独自に研究する。

著者紹介

連載親の入院、介護ですぐやること、考えること、お金のこと

親が倒れたら、まず読む本 入院・介護・認知症…

親が倒れたら、まず読む本 入院・介護・認知症…

渋澤 和世

プレジデント社

高齢化が進む日本では現在、介護ストレスによる介護疲れが大きな問題だ。そこで本書では、仕事や育児との両立を前提に、「完璧な介護」ではなく「頑張りすぎない介護」を提案する。 正社員としてフルタイムで働きながら、10年…

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