「寝たきり老人」がいない福祉先進国との差
同居介護 母…要介護5
デンマークやスウェーデンなどの福祉先進国に寝たきりはいないという。日本は安全を優先し(というかその方が楽だから)、寝かせきりにしているのだという。それが寝たきりという言葉の本当の意味だと思う。
母は圧迫骨折以来、寝かせきりにしておけば寝たきりになるが、平日は小規模多機能で車いすでも起きているし、土曜はリハビリで外出。日曜日は寝ているときもあるが、ごくたまに外出することもある。
ある日、主人が車を買い替えたいと言い出した。今までエスティマだったがどうしても乗り換えたいらしい。まさか母が圧迫骨折をするとは思わなかったので運悪くというか、ランドクルーザーを選んでしまっていた。歩けるときなら少し高い位置に座席シートがある車だが問題なく乗れたはず、だが圧迫骨折後は違う。だからと言って高いお金(予定以上)を出して買った車を更に買い替える選択肢はゼロである。
それならば、何とかして母を乗せなければならない。まず母をドア付近まで車いすで連れて行き、下から足を私が支え、上から主人が引き上げる。周りから見るとまるで人さらいのようだ。女性だから持ち上がるのだが、何とかなるものだ。車いすであっても福祉車両など特別な車を準備しなくても十分にドライブや外出が楽しめる。
いつの日か、ふと思った。そういえば耳掃除ってずっとしていないよね。母は耳かきを使いよく掃除をしていたが、いつの日からか自分ではしなくなっていた。耳垢がつまると聴力が低下するが、それが原因で会話が難しくなることもあるらしい。
会話が減ると刺激がなくなり認知機能も低下する。本来なら耳鼻咽喉科に定期的に行って掃除をしてもらえば良いのかもしれないが、赤ちゃんと一緒で耳垢を柔らかくする薬を注入して、数日後に再度外来というように受診が一度ではすまない。以前、咳で耳鼻咽喉科にかかったついでに耳を診てもらったが、「鼓膜が見えるから大丈夫」と言われ、掃除はしてくれなかった。
自宅で寝かせながら耳に蛍光灯の光が入るよう、見やすくして掃除するのだが見えにくいときもある。たまたま、リハビリに向かう途中、信号で待っていると太陽の方向とタイミングが合い、耳の中が奥まで非常によく見えた。今なら確実にとれると思ったが綿棒がない。それ以降、病院に行くときは必ず綿棒をバッグにいれている。というか診察ケースに一緒に入っている。