一般企業では既に始まっている時間外労働の上限規制が、2024年4月から医師にも適用される。勤務医の時間外労働時間を「原則、年間960時間までとする」とされているが、実現は困難ではないかとの指摘も。その「医師の働き方改革」を実現した医師がいる。「現場のニーズに応え、仕事の流れを変えれば医師でも定時に帰宅できる」という。わずか2年半で、どのように医師の5時帰宅を可能にしたのか――、その舞台裏を明らかにする。

評価をするのは常に他人、住民に必要とされる病院へ

新型コロナウイルス感染症の影響が予想以上に長期化することで、非常に厳しい状況に置かれている病院は少なくありません。そういった事態を心配しているのは、病院関係者だけではないのです。患者さんを含めた地域の方が皆、診療してもらっている病院が今後も存続してくれるか否かを、固唾をのんで見守っています。

 

日夜を問わず救急外来に対応してくれる病院、往診を積極的にしてくれているクリニック、専門医による高い医療レベルの診療を行ってくれている拠点病院の存在は、どれも住民に安心感を与える、その地域にはなくてはならない存在です。

 

新型コロナウイルス感染症の患者を積極的に受け入れているわけではないにもかかわらず、患者数が激減した医療機関があるとしたら、この機会に、自分たちの病院は地元の方々から存在意義を感じてもらえているのか。もらえていないとしたら、それはなぜか。もし、自分たちの医療機関の考えるコンセプトと地域の期待との間にズレが生じているなら、具体的にそれはどんな点なのかなど、しっかりと考えてみる必要があるかもしれません

 

コロナの影響を強く受けている状況下であるからこそ、本質的なニーズが鮮明に浮き上がってくる可能性があります。「評価をするのは常に『他人』」であることを、今こそ強く意識する必要があります。

 

新型コロナウイルス感染症の混乱を経験した我々医療者にとって、「『他人から評価』され、地域の方々が今まで以上に頼りに思ってくれる医療機関に成長していくこと」こそが、「医師の働き方改革」を行いながら最終的に目指すべきゴールであると、私は考えています。

 

「医師の働き方改革」のポイント
●自院の立ち位置を明確にし、「自分たちが推し進めていくべき分野」と「他院に任せてもよい分野」を明確にし、2024年以降のビジョンを立ててみる
●生活習慣病が原因の疾患に関しては、患者の行動変容を起こせるよう本質的な患者教育の場、“ヘルスリテラシー”を上げていく場を積極的に設けていく
●評価をするのは常に他人であることを肝に銘じ、地域に本当に必要とされる病院作りを行っていく

 

佐藤文彦
Basical Health産業医事務所 代表

 

 

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地方の病院は「医師の働き方改革」で勝ち抜ける

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佐藤 文彦

中央経済社

すべての病院で、「医師の働き方改革」は可能だという。 著者の医師は「医師の働き方改革」を「コーチング」というコミュニケーションの手法を用いながら、部下の医師と一緒に何度もディスカッションを行い、いろいろな施策を…

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