介護業界は医療業界を見習っている
つまり、学校で「流派」が身に付くぐらいしっかりと学んでいる医療と、何も知らないで就労し、就労を通して学んでいく介護は、似て非なるものだということです。
一見、見た目は医療系の親戚のように思えますが、実際の運用はオン・ザ・ジョブトレーニングによる訓練なので、民間の一般企業と何ら変わることはありません。
だから、介護職員の多くは、一番最初に入社した老人ホームで一番最初に指導を受けた介護職員の「流派」(介護に関する考え方や手技など)を継承する傾向が強く出てしまうのです。
老人ホーム業界のわかりにくさはどこから来ている?
何度も申し上げているとおり、介護業界と医療業界とは近しい関係にあります。私見ですが、介護業界は医療業界を参考に制度などの整備をしています。要は、医療業界を見習っているということだと思います。
人材についても医療業界とは切っても切れない関係にあります。たとえば、多くの老人ホームでは看護師はホームに常駐配置が義務付けられています。医師や理学療法士などのセラピストらとの連携も求められています。
しかし、です。医療は専門職の集合体であり、介護は総合職の集まりなので、医療と同じフォーメーションではうまくいくわけがありません。ところが、多くの老人ホームでは、医療を見習えと言わんばかりに病院を見習ったフォーメーションを採用しています。これは、経営者が望んでいるというよりは、老人ホームにいる医療系の職員の強い意志による誘導の結果だと考えています。
介護は医療とはまったくの別物のはずです。老人ホームとは一般企業の経営とまったく同じであるにもかかわらず、同じように見える病院運営を見習い、病院の下請けのようになってしまっていることが、老人ホームをさらにわかりにくくしている問題なのでは?と考えています。
小嶋 勝利
株式会社ASFON TRUST NETWORK 常務取締役
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