介護職員は業界のことを知らない初心者?
介護職員と医療系職員の違いとは
医療業界などの関係業界で働いている人たちの多くは、比較的若いときから医師になる、看護師になると決めて準備をしています。そのような流れが完成しているため、受け入れる側の多くの学校も、高いレベルで専門職を養成するための指導方法が整備されています。そして、多くの卒業生は晴れて資格を取得し、その任に就きます。
しかし、介護職員はどうでしょうか? 最近では多少、介護系の専門学校や大学も増えているようですが、そもそも、福祉系の大学で学んだ多くの人たちは、私の見立てでは介護職に就くというよりも、公務員など地方公共団体の職員として就労している人が多いように思います。つまり、介護職員として現場で労働することよりも、介護職員を管理、指導したり、制度やルールを作る側に回っているように思います。
したがって、老人ホームで働く多くの介護職員は、まず何も介護業界のことがわからない初心者のまま就労することになります。そして、その就労を通して老人ホームの実務について学んでいくことになるのです。
だから、介護業界には「流派」が生まれる
「老人ホームには流派がある」というのが、私の持論です。お茶やお華、踊りのように老人ホームにも「流派」が存在しています。正確に申し上げると、この「流派」には、お茶などのような明確でストーリー性のある家元や宗家は存在しません。さらに、家元や宗家を頂点とした徒弟制度やヒエラルキーも、フォーマルな中には存在していません。
介護職員の多くは、就労して初めて介護という仕事の何たるかを知ります。医師や看護師など医療の場合は、医療とは何たるかを専門学校や大学、大学院などにて徹底的に勉強します。それもかなり真剣に身を入れて勉強をしなければならないぐらい追い込まれるはずです。したがって、私が言う「流派」を彼らに当てはめた場合、彼らの「流派」は、学んだ学校の「流派」になると思います。そして、学校の先生や先輩が、自分の「流派」の師匠になっていくのです。