本記事は、書籍『こんな建売住宅は買うな』(幻冬舎MC)より一部を抜粋したものです。最新の法律・条例改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

入居後に「巾木と床の隙間」が広がる怖い理由

巾木と床の隙間については、入居後にさらに目立ってくるはずです。室内での人の動きや家具の重さで床が沈むこともありますし、湿気や寒暖差、冷暖房の影響、外からの風や車の行き来によって伝わる振動など、さまざまな影響を受けていくからです。

 

狭小住宅とされる3階建ての建売住宅の場合は、揺れの影響が特に大きく出る傾向があります。上階のほうが揺れが大きくなるため、1階は問題なくても3階は隙間が大きくなっていることもよくあります。

 

こうした場合でも、あわてて補修を依頼するのではなく、家の状態が落ち着くのを待ってみましょう。

 

新築物件の場合、建物は10年保証ですが、クロス保証は通常1~2年間です。目立つ隙間やキズがあるなら、入居後数カ月を過ぎてから、まとめて依頼するとよいと思います。

ひびが入ることも…仕上がりに差が出る「階段の施工」

ポイント⑤ 階段は板と板の継ぎ目を見る

 

階段の施工は入り組んでいる部分が多いので、職人によって仕上がりに差が出やすい場所です。いくつかのチェックポイントがありますので、参考にしてください。

 

階段は足を乗せる踏み板と、爪先が当たる蹴込(けこ)み板、側面の「ささら」と呼ばれる部分に大別されます。

 

まず見るべきなのは踏み板と蹴込み板との継ぎ目です。ささらの部分に仕上げテープを貼り忘れたり、釘が直に見えていたりする不備も見つかることがありますし、踏み板と蹴込み板とささらの継ぎ目に、隙間が開いていることもあります。

 

継ぎ目の隙間が大きく開いていると、きしみの原因になりますし、住んでいるうちにさらに隙間が大きくなる可能性もあります。

 

階段は、裏側からビスを打って作っていきます。本来であれば板の厚みの中に、すべてのビスが収まっているのが正しい状態です。しかし職人の腕があまりよくないと、階段の表側にビスの先端が飛び出してしまうことがあります。

 

さらに、ビスの打ちどころが端に寄りすぎていたせいで、階段の表部分を持ち上げてしまったり、ひどい場合には板にひびが入ってしまうケースもあります。板と板の継ぎ目の部分に関しては、特に細かくチェックするようにしてください。

 

また、一般の建売住宅の場合は、回り込む形で、やや急な角度で階段が設置されていることが多くあります。このため、手すりの安定性が非常に重要になります。小さなお子さんのいる家庭では、さらに重要なポイントになるはずです。

 

支えが正しい位置にないと、手すりを持ったときに揺れて不安定です。軽く動かして、安定性を確認してください。

次ページ「天井付近の壁」「窓サッシ周辺」のシミをチェック

本連載は、2015年6月25日刊行の書籍『こんな建売住宅は買うな』から抜粋したものです。その後の法律・条例改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

こんな建売住宅は買うな

こんな建売住宅は買うな

田中 勲

幻冬舎メディアコンサルティング

注文住宅と比べて安く購入できる建売住宅は、特に地価の高い都心近郊で人気がありますが、実は流通している住宅の大部分が目に見えない欠陥・不具合を抱えているのが実情です。 実際に、断熱材のズレ・不足や、準防火地域にお…

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