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「気づいたら1億円になっていた」会社員の人生
都内で働く会社員の高瀬さん（43歳・仮名）の年収は約600万円。特別に稼ぎがいいわけでも、実家が太いわけでもありません。
ただ、もともと物欲が薄く、若い頃から資産の残高を見るのが楽しみでした。20代半ばから積立投資を始め、節約生活で余ったお金はすべて投入。リーマンショック時も震災時も売ることなく耐え続けたといいます。
「1,000万円貯めるまでは大変。でも、それ以降は増えるスピードが一気に加速しました」――そう語ります。気づけば資産は1億円を突破。富裕層の仲間入りを果たしました。
しかし、住んでいるのは東京都内の築37年・木造アパート。6畳のリビングとキッチンの1DK、家賃7万円です。
「家賃の値上げもないし、不便にはすっかり慣れてしまい、離れられなくて」
生活自体も淡々としたものです。平日は会社と家の往復。休日は家で動画を見て過ごしていると、あっという間に終了。その繰り返しでした。
「どこかに出かければ金がかかるし、家でじっとしているのが一番コスパがいい。そう考えていました」
そんな生活を続けてきた高瀬さんでしたが、「人生観が変わった」出来事があったのだといいます。
突然の事件、「このままじゃ無駄死に」
きっかけは、猛暑が襲った夏の日。少し離れた安売りスーパーへと向かう最中、高瀬さんは、強い頭痛と動悸に襲われ、熱中症のような状態で意識を失ってしまいました。
気がついたとき、目の前には救急隊員がいました。そこでかけられたひと言。「連絡が取れる身元のわかる方、どなたかいらっしゃいますか？」
―― 答えられませんでした。母は早くに亡くなり、父とは疎遠。兄弟はいません。友達と呼べる人もコロナ禍を機に1人もいなくなり、スマホの連絡先は仕事関係ばかりです。
結局大事にはいたりませんでしたが、背中がぞっと冷えたといいます。このまま万が一のことになっていたら、1億円あったところで何になるのかと。
「無駄死にだな……と思いました。気づけば、資産づくりしかしてこなかったように思えて。使いもせずに終わって、証券会社や銀行にあるお金は国庫に行くらしい。それでいいのか？と」
