インターネット無料と追いだき機能が人気上位なワケ
例えば「意外に小学校の学区として人気が高いのに、ファミリー向け賃貸が少ない」という声を聞いたら、ファミリー向けにチャンスありだ。「需要に対して少ない=不足している」ということなので、ファミリー向け賃貸アパートやマンションがあれば狙い目だろうし、あるいは中古分譲マンションも、というように、選択肢はさらに増えるかもしれない。
いずれにしても、収益性が高い不動産の条件は、家賃競争にさらされないポジションにあること。入居者ニーズは、誰もが考えつくようなものだけでなく、意外性のあるニーズ、まさにダイヤモンドの原石のようなものを掘り当てることこそ重要だ。
人気設備は「インターネット無料」が4年連続1位
入居者のターゲットが明確になってきたら、そのターゲットのニーズに合う部屋を考える。入居者ニーズは大きく3つに分けられる。
(1)設備に対するニーズ
(2)建物の造り・間取りに対するニーズ
(3)管理に対するニーズ
まず(1)の設備に対するニーズについて説明しよう。
賃貸住宅業界向け専門新聞「週刊全国賃貸住宅新聞」で、毎年「入居者に人気の設備ランキング」という企画を実施している。この企画では、「この設備があれば周辺相場より家賃が高くても決まるTOP10」と「この設備が無ければ入居が決まらないTOP10」の2つのランキングを掲載している。
このランキングは、全国の賃貸住宅管理会社の協力を得て、それぞれについて、単身者向けと2人以上住めるファミリー向けとに分けて回答してもらった結果をまとめたものだ。パッと見ただけでも、単身者向けとファミリー向けのニーズの優先順位の違いがわかるだろう。購入したアパートの空室をリフォームする際に、どんな設備を新しく入れるかを検討するときには、単身者向けなのか、ファミリー向けなのかで設備のニーズが異なることを押さえておきたい。
このランキング企画は、2005年からほぼ毎年実施していて、私は第1回から編集部の一員として関わっている。第1回からランキングを見ていてわかったことは、「この設備があれば周辺相場より家賃が高くても決まるTOP10」に入っている設備が、2、3年後には「この設備が無ければ入居が決まらないTOP10」に入っていることだ。つまり、年々設備に対するニーズは、レベルが上がっていることになる。
例えば、単身者向けの「独立洗面台」や「宅配ボックス」は、数年前までは「この設備があれば周辺相場より家賃が高くても決まる」のランキングのみに入っていたが、現在は当然ながら両方に入っている。
もちろん、長期間TOP3に入っている設備もある。単身者向けでは「インターネット無料」、ファミリー向けでは「追いだき機能」だ。この2つの設備に共通するのは、家計に優しいということだろう。