もし親を老人ホームに入居させるとして、まず第一歩として何を理解しておけばいいのでしょうか。老人ホームの裏の裏まで知り尽くす第一人者が、親を老人ホームに入れようと思った時に「知っておきたい選び方、探し方」を明らかにします。本連載は小嶋勝利著『親を老人ホームに入れようと思った時に読む本』(海竜社)から一部を抜粋、編集したものです。

在宅では生きることに一定の緊張感がある

誤解のないように言っておきますが、これらの行動は介護職員側の怠慢からきているとは言いきれません。なぜなら、老人ホームには国が決めた配置基準が明確に存在し、その配置基準で介護職員を配置しているのが普通だからです。主たる収入である介護保険報酬と主たる支出である職員配置数は、国によって決められていると理解してください。

 

そして、この報酬と職員配置数では、入居者一人ひとりに対し丁寧な関わり方などできるわけがないということを理解しなければなりません。もちろん、入居金や月額利用料を高額に設定している老人ホームは、職員配置数を増やして対応しているところがほとんどなので多少は関わりが丁寧なはずです。しかし、その分、多額の費用負担をしなければならないという事実を受け入れなければなりません。要するに、「介護の沙汰も金次第」ということなのです。

 

話を元に戻します。私の知人のケアマネジャーが言うのには、自宅では一人暮らしの高齢者、とくに経済的に豊かではない高齢者の場合、いくら手伝ってほしくても、費用負担もままならないので誰も何もやってくれません。日常生活のあらゆること、火の始末も戸締りもお金の管理も、すべて自分でやらなければならない環境下で生活しています。つまり、生きていること自体に一定の緊張感があるのです。

 

しかし、遠方に住む子どもが心配して老人ホームに入居させると、急に認知症状が出現してしまったという話は「ケアマネあるある」だと言います。これは、老人ホームに入居した途端、毎日の生活の中に今まであった緊張感がなくなり、安心してしまった結果ではないだろうかというのがケアマネジャーの推察です。

 

在宅か、それとも老人ホームか、共にメリットデメリットがあると思います。このあたりの視点から当事者にあった選択肢をしなければならないと思います。

 

小嶋 勝利
株式会社ASFON TRUST NETWORK 常務取締役

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