大分県国東半島から東京に通う生活
ところが、ポスト・コロナの世界では、慣れない地域で職探しをすることがありません。自分の得意な領域の仕事を、自然環境が豊かで食べ物がおいしく、何といっても物価が安い地方ですることができるようになるのです。ついでに広い敷地で、家庭菜園でもやれば、収穫したトマトやキュウリ、ナスなどで食卓が賑わいます。子供たちもマンション生活で階下の住戸に気を使うこともなく、のびのびと暮らすことができます。地方都市はポスト・コロナでは俄然、注目の住宅地に化ける可能性が大いにあると言えましょう。
地方都市での家選びは完全な生活ファーストとなります。ただ旅行気分で選択するのではなく、その地域で仕事をしながら暮らすことになれば、当然仕事がしやすい環境にあるかはひじょうに重要な要素となります。つまり、Wi-Fiなどのネット環境が整っているのは言うまでもなく、社会インフラとしてのレイヤーがどれだけ整っているかが勝負となります。
ネットで何でも注文ができる。何もわからない地域の決め事でもネット検索をすれば、一発で理解できる。こちらからの情報発信にもちゃんと対応してくれるところがある。街は開放的でよそ者に対しても親切に対応してくれることは、これまでの移住でも大事なポイントでしたが、これからの「親切」は、生身の親切に加えて、こうしたソフトウェア、通信技術の整備にあるのです。
私が知り合った方に、大分県の国東半島にお住まいの方がいます。この方、もともとは東京のマスメディアの方でした。ところが、今はご家族の健康を第一に考えた結果、現在の国東に居を移され、今でもメディア関連の仕事をされています。
その方が言うには、仕事はどこでもできる、国東に来て、地元でいろいろな活動をしながらときたまメディアの仕事で東京にも行かれるそうです。
彼に言わせれば、国東から東京はけっして遠くないということです。大分空港へは車で20分程度、そこから飛行機で1時間40分。羽田空港から都心まで30分。都合3時間以内で、東京のスタジオに座っている。毎日はできないけれど、月に2、3回なら十分可能だと言います。往復で6時間はかかりますが、月3回なら18時間。サラリーマン時代は毎日往復で3時間。月に直せば20日通って60時間。実は国東にいるほうが、月に42時間も通勤時間が節約できる上に、精神衛生上も平穏を保つことができる、と言います。
集中から分散へ。住むところは自分の好みで選ぶ、生活ファーストは、ポスト・コロナの時代には着実に訪れてきそうです。
牧野 知弘
オラガ総研 代表取締役
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