保育所も設置…「郊外のコワーキング施設」がボロ儲けするワケ

新型コロナウイルスの感染拡大によって不動産の世界は激変している。景気後退が叫ばれ、先行き不透明感が増すなか、日本経済はどうなるか、不動産はどう動くのかに注目が集まっている。本連載は、多くの現場に立ち会ってきた「不動産のプロ」である牧野知弘氏の著書『不動産激変 コロナが変えた日本社会』(祥伝社新書)より一部を抜粋し、不動産の現状と近未来を明らかにする。

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コワーキング施設の戦略転換

都心のオフィスで働くことが少なくなり、基本の働き方が在宅でのテレワーク、もしくはコワーキング施設ということになると、これまでのコワーキング施設の立地にも大きな変化が出てきます。

 

なぜなら、これまでWeWorkなどのコワーキング施設の多くが都心部に立地してきたからです。彼らが都心部に立地するには理由がありました。彼らの会員の多くは、イメージされるようなスタートアップ企業というよりも、大企業や地方企業だからです。大企業は営業職などの社員に対して、取引先からいちいち会社に戻ってレポートなどの作成をすることを求めず、最寄りのコワーキング施設に立ち寄って作成する、あるいは取引先との会議を行なうスペースとして利用してきました。また地方企業では、東京や大阪などに出張したときのアイドルタイムでの立ち寄りスペースとして利用してきました。

 

コワーキング施設はターミナル駅に進出するようになっていく。(※写真はイメージです/PIXTA)
コワーキング施設はターミナル駅に進出するようになっていく。(※写真はイメージです/PIXTA)

 

コワーキング施設の機能とは、いわゆるシェアオフィスです。通常のオフィスであれば、同じ会社の社員だけが一緒に働く形態になりますが、コワーキング施設では、施設内のデスクやチェアが自由に使え、フリードリンクなどのサービスも提供されます。会費は運営会社によって異なりますが、安いプランであれば、月額8万円程度のいわゆるサブスクリプション(定額制)で会員に登録されれば、全国の施設が利用可能です。

 

個室スペースを使いたいときは、別料金になりますが、集中して仕事をしたいときに利用することができます。また会員間でのビジネスマッチングなども行なわれているのが特徴です。同じ会社の社員同士では、なかなか新しいアイデアが浮かびづらいものです。同じ就業スペースに異なる業種の社員たちが集えば、異業種交流にもなり、会員企業や社員にとっても利用価値は高いものとなります。

 

コワーキング施設は現在、新規テナントとして、都心部のオフィスビルの床を大量に借り上げています。最近竣工するオフィスビルの数フロアを借り上げたなどの事例も相次いでいます。オフィスビル関係者の中には、オフィスビルの大量供給が予想される東京都心部でも、今後もコワーキング施設が新しいテナントとしてたくさんの床を借り上げるはずだからオフィスマーケットは当面堅調である、とのコメントすら出るほど、テナントとして期待されてもいます。

 

ところがポスト・コロナの時代を見据えると、今後の変化にも目を向けなければなりません。つまり大企業の社員が都心に通勤してこない、地方企業も東京や大阪などへの出張が減少すると、コワーキング施設の在り方にも見直しが必要になってきます。もちろんこの機能自体が都心ですべて失われるわけではありませんので一定数は確保されるでしょうが、ポスト・コロナでは必然、施設の側から顧客に近づく立地戦略が求められることとなります。

オラガ総研 株式会社 代表取締役

1959年、アメリカ生まれ。東京大学経済学部卒。ボストンコンサルティンググループを経て、三井不動産に勤務。2006年、J-REIT(不動産投資信託)の日本コマーシャル投資法人を上場。現在は、オラガ総研株式会社代表取締役としてホテルや不動産のアドバイザリーのほか、市場調査や講演活動を展開。主な著書に『空き家問題』『民泊ビジネス』『業界だけが知っている「家・土地」バブル崩壊』など多数。

著者紹介

連載不動産の動きを観察すれば、日本経済がわかる

不動産で知る日本のこれから

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牧野 知弘

祥伝社新書

極地的な上昇を示す地域がある一方で、地方の地価は下がり続けている。高倍率で瞬時に売れるマンションがある一方で、金を出さねば売れない物件もある。いったい日本はどうなっているのか。 「不動産のプロ」であり、多くの…

業界だけが知っている「家・土地」バブル崩壊

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祥伝社新書

不動産が高騰し続けている。 銀座の地価は1980年代のバブル期を上回り、三大都市圏と「札仙広福」(札幌・仙台・広島・福岡)の上昇が著しい。国内外の投資マネーの流入、外国人富裕層の購入を背景に、超大型ビルや再開発の計画…

不動産激変 コロナが変えた日本社会

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新型コロナウイルスの感染拡大によって不動産の世界は大激変している。「不動産のプロ」であり、長く現場の動向を観察してきた著者は、そう断言する。いったい、何が変わるのか?たとえば、従来社員一人当たり三坪で計算されて…

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