共用部にタバコの吸い殻やペットボトルが…
家主業は、入居者が払ってくれる家賃で成り立っている。つまり、入居者は「大事な顧客」に他ならない。昔から家主業をしている人たちには、こうした意識が欠如している人もいて、「貸してやっている」という意識が未だにある場合が少なくない。しかし、そんな意識では、空室が増えている今、入居者は選んではくれない。入居者にいかに魅力的な住まいと思ってもらえるか。建物そのものだけでなく、管理やサービスといった面においても「心地よさ」が重視されるのだ。
もちろん建物のタイプや立地などによって、入居者層は異なる。入居者層に合わせた対応につい ては後述するが、入居者、すなわち顧客に対して、家主が行うべき基本的な仕事とは何かを考えてみたい。とはいっても実は特段難しいことではない。自分が入居者の立場に立って、賃貸住宅にどんな環境を求めるかを考えればいいからだ。
例えば、
〇建物の共用部にタバコの吸い殻やペットボトル、ごみなどがなく清潔
〇防犯・防災の対策がされていて安心して住める
〇困りごとが発生した時に連絡しやすい環境になっている
などは最低限の条件ではないだろうか。「こんなことは誰だってわかるし、普通だろう」と思う人は少なくないかもしれない。だが、こうした環境ですら整えられていない賃貸住宅は、かなり存在する。裏を返せば、なかなか入居者が決まらない賃貸住宅の共通項ともいえる。
共用部を清潔に保つことは、自身がなかなか所有不動産に足を運べないサラリーマン家主にとっ て簡単ではない。特に遠隔地に所有している場合は、定期的に現地に足を運ぶのは難しいだろう。だからこそ、管理会社が、どの程度賃貸住宅を巡回し管理しているのか、もし、通常の管理費だけでは月1回の巡回が限界だというのであれば、追加で費用を払ってでも巡回頻度を増やしてもらうとか、管理会社以外の人に依頼し、巡回して何か不具合があれば連絡をもらうなどの対策が重要だ。
新規で募集し、不動産会社が、入居希望者を内見に連れてきてくれたとしても、共用部に空き缶などが転がっていたら、部屋に入る前から印象が悪いだろう。すでに住んでいる入居者にしても、何かきっかけがあれば引っ越してしまうかもしれない。建物を清潔にすることは大変重要だ。