新型コロナウイルスの感染拡大によって不動産の世界は激変している。景気後退が叫ばれ、先行き不透明感が増すなか、日本経済はどうなるか、不動産はどう動くのかに注目が集まっている。本連載は、多くの現場に立ち会ってきた「不動産のプロ」である牧野知弘氏の著書『不動産激変 コロナが変えた日本社会』(祥伝社新書)より一部を抜粋し、不動産の現状と近未来を明らかにする。

デートも遊びも打ち合わせもネットで済む?

コロナ禍で家に留まらざるをえなかった人々にとって、実家の様子を画像と会話で行なう。外部からの訪問を一切受け付けなくなってしまった高齢者施設に入居する親と、情報端末を使って会話できることが次々と実証されました。

 

牧野知弘著『不動産激変 コロナが変えた日本社会』(祥伝社新書)
牧野知弘著『不動産激変 コロナが変えた日本社会』(祥伝社新書)

つまりコロナ禍は日常生活における、人と人とのコミュニケーションのほとんどの場面でネットが使えるようになったことを世に知らしめる機会になったと言えましょう。

 

ポスト・コロナ時代には、このネット上でのコミュニケーションはさらにあたりまえのものとなるでしょうし、次第にリアルとネット上でのバーチャルな空間との区別がつかなくなる時代になってくるのではないでしょうか。そうなると実際に人と人とがわざわざ会わなくても、ネット上でほとんどの用事がすむようになっていくものと思われます。

 

ネットの技術が向上して、人の心理や感情をネットでさりげなく伝えることができるようになる、たとえばフェイスブックやLINE などで多用される絵文字やスタンプがもっと進化して細かな表現を相手に伝えることができるようになれば、日常生活はネットだけで過ごせるようになるかもしれません。

 

デートも、遊びも、打ち合わせも、ひょっとすると取っ組み合いの喧嘩だってネット上で決着をつけられるようになるかもしれないのです。

 

最近五輪種目に採用されるかで注目されているeSportsはパソコンや専用端末で行なう電子スポーツですが、別に人間が体を動かしてその能力を競うものではなく、瞬発力や判断力をバーチャルな空間で競い合うものです。これをスポーツと言うべきかは議論が分かれるところですが、ネットを駆使したバーチャル空間内で競うものとして今後定着していくことでしょう。

 

このように考えると、これからはスポーツの世界でもネット空間を利用した新しい競技が生まれる余地は広いはずです。そしてこうした競技にも人々は夢中になり、ゲームを通じての人と人との絆もまた深まっていくことになるでしょう。ポスト・コロナ時代の新しい人間関係の軸になるのがネットの世界なのです。

 

牧野 知弘
オラガ総研 代表取締役

 

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