ネットを使ったコミュニケーションスキルが向上
コロナ禍は人と人との接触を禁じることになりました。大勢の人が集まって交わる。声をかけあう。一緒に行動する。人と人との接触にはいろいろなスタイルがあります。そして人はそうした交わりを通じて互いが理解を深めあい、行動を共にしていきます。
人は一人では生きていけません。コロナ禍では人との接触の機会を8割減らすように要請されました。家に閉じ籠もって外出は極力控えよ、とも言われました。でも限界があります。
とりわけ現代は情報社会。すでに多くの人々はネットを使うことで多くの情報を仕入れることができるようになっています。テレビや新聞、雑誌といった専門機関からの一方向だけの「与えられた」情報だけに頼ることなく、YouTubeなどの、既存メディアとは異なる、個人発の情報ソースやTwitterやLINEなどのSNSを通じて、人々は双方向の情報取得や伝達手段を持つようになっています。
コロナ禍では情報通信端末が、人と人との絆をつなぎとめる重要な役割を果たしたといえます。
これまではネット上でのつながりは、リアルな関係、たとえば家族や恋人同士、職場、取引先との交渉などの世界からは一歩離れた存在だと言えました。リアルでの関係はネットの関係と比べて、より絆が深いと考えられてきました。ネット上では匿名性も強く、また相手の本心が伝わり切れないといった理由でリアルなつながりが重視されてきました。
ところがコロナ禍はリアルな関係をズタズタに切り裂き、「寄るな、触るな」を社会の規範としてしまいます。直接的なふれあいの手段を失った人間関係は、ネットを通じての絆の深化へと変質します。これまでは特殊な場合を除いては採用されてこなかったzoomやSkypeによる打ち合わせや相手先とのミーティングが日常化されるにつけ、人々はネットを利用してのコミュニケーションスキルを磨くことができました。
初めのうちはぎくしゃくした会話であったものが、数カ月もすると技術の進化もあいまってほぼ普通に会話することができるようになりました。文章はメールやLINE、会話はスマホで行なってきたコミュニケーションに、新たに画像と会話がセットとして加わってきました。さらにこの画像はただ単に話している人の画像を届けるだけでなく、関連する写真や資料までを自在に提示して討議できることから、ビジネス上で必要なコミュニケーションツールとして市民権を得ることになりました。