不動産のプロ「現実とバーチャルの区別がつかない時代」を予測

新型コロナウイルスの感染拡大によって不動産の世界は激変している。景気後退が叫ばれ、先行き不透明感が増すなか、日本経済はどうなるか、不動産はどう動くのかに注目が集まっている。本連載は、多くの現場に立ち会ってきた「不動産のプロ」である牧野知弘氏の著書『不動産激変 コロナが変えた日本社会』(祥伝社新書)より一部を抜粋し、不動産の現状と近未来を明らかにする。

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ネットを使ったコミュニケーションスキルが向上

コロナ禍は人と人との接触を禁じることになりました。大勢の人が集まって交わる。声をかけあう。一緒に行動する。人と人との接触にはいろいろなスタイルがあります。そして人はそうした交わりを通じて互いが理解を深めあい、行動を共にしていきます。

 

人は一人では生きていけません。コロナ禍では人との接触の機会を8割減らすように要請されました。家に閉じ籠もって外出は極力控えよ、とも言われました。でも限界があります。

 

とりわけ現代は情報社会。すでに多くの人々はネットを使うことで多くの情報を仕入れることができるようになっています。テレビや新聞、雑誌といった専門機関からの一方向だけの「与えられた」情報だけに頼ることなく、YouTubeなどの、既存メディアとは異なる、個人発の情報ソースやTwitterやLINEなどのSNSを通じて、人々は双方向の情報取得や伝達手段を持つようになっています。

 

デートも仕事も飲み会も…ネットで完結できる?(※写真はイメージです/PIXTA)
デートも仕事も飲み会も…ネットで完結できる?(※写真はイメージです/PIXTA)

 

コロナ禍では情報通信端末が、人と人との絆をつなぎとめる重要な役割を果たしたといえます。

 

これまではネット上でのつながりは、リアルな関係、たとえば家族や恋人同士、職場、取引先との交渉などの世界からは一歩離れた存在だと言えました。リアルでの関係はネットの関係と比べて、より絆が深いと考えられてきました。ネット上では匿名性も強く、また相手の本心が伝わり切れないといった理由でリアルなつながりが重視されてきました。

 

ところがコロナ禍はリアルな関係をズタズタに切り裂き、「寄るな、触るな」を社会の規範としてしまいます。直接的なふれあいの手段を失った人間関係は、ネットを通じての絆の深化へと変質します。これまでは特殊な場合を除いては採用されてこなかったzoomやSkypeによる打ち合わせや相手先とのミーティングが日常化されるにつけ、人々はネットを利用してのコミュニケーションスキルを磨くことができました。

 

初めのうちはぎくしゃくした会話であったものが、数カ月もすると技術の進化もあいまってほぼ普通に会話することができるようになりました。文章はメールやLINE、会話はスマホで行なってきたコミュニケーションに、新たに画像と会話がセットとして加わってきました。さらにこの画像はただ単に話している人の画像を届けるだけでなく、関連する写真や資料までを自在に提示して討議できることから、ビジネス上で必要なコミュニケーションツールとして市民権を得ることになりました。

オラガ総研 株式会社 代表取締役

1959年、アメリカ生まれ。東京大学経済学部卒。ボストンコンサルティンググループを経て、三井不動産に勤務。2006年、J-REIT(不動産投資信託)の日本コマーシャル投資法人を上場。現在は、オラガ総研株式会社代表取締役としてホテルや不動産のアドバイザリーのほか、市場調査や講演活動を展開。主な著書に『空き家問題』『民泊ビジネス』『業界だけが知っている「家・土地」バブル崩壊』など多数。

著者紹介

連載不動産の動きを観察すれば、日本経済がわかる

不動産で知る日本のこれから

不動産で知る日本のこれから

牧野 知弘

祥伝社新書

極地的な上昇を示す地域がある一方で、地方の地価は下がり続けている。高倍率で瞬時に売れるマンションがある一方で、金を出さねば売れない物件もある。いったい日本はどうなっているのか。 「不動産のプロ」であり、多くの…

業界だけが知っている「家・土地」バブル崩壊

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牧野 知弘

祥伝社新書

不動産が高騰し続けている。 銀座の地価は1980年代のバブル期を上回り、三大都市圏と「札仙広福」(札幌・仙台・広島・福岡)の上昇が著しい。国内外の投資マネーの流入、外国人富裕層の購入を背景に、超大型ビルや再開発の計画…

不動産激変 コロナが変えた日本社会

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牧野 知弘

祥伝社新書

新型コロナウイルスの感染拡大によって不動産の世界は大激変している。「不動産のプロ」であり、長く現場の動向を観察してきた著者は、そう断言する。いったい、何が変わるのか?たとえば、従来社員一人当たり三坪で計算されて…

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