東京大学を卒業した杉山宗志氏は、福島県いわき市を中心に展開する「ときわ会グループ」にて、病院の事務方として働いている。医療現場の現状に大きな注目が集まるなか、現場からの声を聞いた。※「医師×お金」の総特集。GGO For Doctorはコチラ

「医療現場×子育て施設」コロナ禍で報道されない問題

まず2月27日、新型コロナウイルス感染症対策本部にて、全国の学校の一斉臨時休業を要請する方針が内閣総理大臣より示されました。これを受け厚生労働省は、保育園などの施設について、感染の予防に留意した上で、「原則として開所していただくようお願いしたい」としていました。いわき市では、小学校は3月4日から3月23日までを臨時休校とし、公立の幼稚園は通常通り開園することになりました。

 

たとえば当グループでは、すべて子育て施設を開きました。ただ、幼稚園や保育園への登園は自由としました。児童クラブについては小学校がお休みであることから、普段は放課後のみ開設していたところ、朝からの開設としました。市内の他の施設も、同様の対応が多かったようです。

 

そのまま春休みを挟み4月6日からは通常通りの登校となりましたが、4月16日に緊急事態宣言が全国に拡大され、いわき市の小学校は、4月18日から、再度一斉休業となりました。幼稚園や保育園についても、市から臨時休園の要請が出されました。ただし、要請されている休園期間内でも、医療従事者や社会の機能を維持するために就業を継続することが必要な場合については、特例的に保育を行うこととなりました。

 

施設は医療従事者、介護従事者の子がほとんどを占めており、休園要請があったとはいえ、日中の活動内容は変わるものの、普段と変わらない体制で開設していました。当初、5月6日までとされていた休業要請でしたが、5月20日まで延期され、5月21日から段階的に登校開始、6月1日、通常通りの登校に戻りました。

 

実際の利用状況を振り返ってみると、自由登園としての開設でも休園要請中の特例的預かり保育でも、全体としては普段の3割程度でした。事業所内保育では普段約90名が在籍しているところ約30名、企業主導型保育では普段約15名のところ約10名、幼稚園では約100名が在籍しているところ約30名、児童クラブでは普段約90名のところ約25名が継続的に利用していました。この期間にこれだけ多くの子を預かっていた施設はめずらしく、市内の他施設では、要請通り休園にするか、数人のみの預かりとすることがほとんどだったようです。

 

医療施設、介護施設との連携があったからこその対応でした。ただ、子どもを預けることができて仕事を続けられるので助かるという声もあれば、感染のリスクをどう考えているのか、という声もやはり聞かれました。

 

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