「歯医者さんに行くこと」が「コロナ予防」に繋がる、これだけの理由【歯科医師が解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

新型コロナウイルスが流行しはじめてからというもの、「感染予防のために歯科受診を控えている」という人は少なくないでしょう。しかし、サッカー通りみなみデンタルオフィス院長・橋村威慶氏は、コロナ禍でも積極的な歯科受診を推奨しています。歯科受診を控えることの弊害や、口腔ケアとコロナウイルスの関係について、最新の知見とともに見ていきましょう。

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コロナ禍、「歯科医院に行かない」は適切な判断か?

2020年4月にカナダのVisual Capitalist社が発表したコロナ感染リスク職業ランキングのトップ5のうち、1位が歯科衛生士、3位に歯科助手、4位に歯科医師とほぼ上位を歯科医療従事者が独占するニュースが流れました。このニュースを見て私たちは衝撃を受け、また社会全体に歯科医院に行くのは危険だという認識が生まれました。その結果、日本のすべての地区で患者さんの受診抑制が起こり、私のクリニックでも来院患者数は半減しました。

 

5月には日本歯科医師会を始め、各有意者団体から歯科治療の有用性が次々と発表されました。しかし、一度刷り込まれた認識は簡単に払拭できず、1年半経過した現在でも受診抑制は続いています。今回のオミクロン株も含めてコロナウイルスはまだわからないこともありますが、歯科治療を受けていないとどうなるのでしょう? また定期的な歯科治療によってコロナウイルス感染予防にどう役立っているか述べて行きます。

歯科医院に行かないとどうなるのか?

■口腔内で細菌が繁殖し、コロナウイルスを体内に運ぶ手助けをしてしまう

1970年代、すでに歯科でクリーニングを受けないとどうなるかという研究がスウエーデンで行われています。

 

歯科医院のクリーニングは歯周ポケット内(歯と歯茎の間)に超音波を当て、ポケット内のバクテリアフィルムという細菌の塊を除去します。一度除去されたバクテリアフィルムはしばらくキレイなままでいるのですが、およそ3〜6ヵ月で元に戻るという結果が出ています。

 

そのバクテリアフィルムには、アンジオテンシン変換酵素2という酵素を出す細胞が口腔内にとても多く含まれます。2020年の研究では、この酵素(本来は毒素でありませんが、この場合は毒素としてとらえて良いでしょう)を出している細胞がコロナウイルスを体内にまで運ぶ手助けをすることがわかっています。その細菌の中でも歯周病菌は特に強い毒性を持っています。

 

■実際、コロナウイルスは「口から感染するケース」が多い

先述の通り、口腔内にはアンジオテンシン変換酵素2を出す細菌が多く存在します。コロナウイルスはこの酵素が多く存在する粘膜と接触し、感染が成立します。そして実際の感染源は自分自身の手指からウイルスが口腔内に移行して感染する場合が多いのです。

 

2015年、人は1時間に何回顔を触るかという研究が行われました。結果、人は1時間に平均23回手で顔を触り、そのうち44%は口、鼻、目を触り、その中でも口を一番多く触っている結果が出ました。およそ1時間に10回は顔にある粘膜を触っていることになり、1日100回以上触ることになります。いくらマスクをしている時間が長いと行っても一日中しているわけではありませんから、いかに手洗いが大切かわかりますね。

 

■コロナウイルスと類似点を持つインフルエンザウイルスは、口腔ケアが有効

インフルエンザウイルスは多くの研究結果が出されています。2005年の研究では高齢者に歯科医師・歯科衛生士による専門的口腔ケアを実地すると、インフルエンザ感染率が9.8%から1.0%まで下がる報告がされています。インフルエンザウイルスはコロナウイルスと違って、プロテアーゼと呼ばれる酵素を介して感染していきますが、2つのウイルスの大きさや形も似ており、トゲのようなタンパク質(スパイクタンパク)があります。今後の研究で解明されていくでしょうが、コロナウイルス感染率もインフルエンザウイルスと同様、感染率を下げるものと推測できます。

 

■「歯周病がある人」がコロナ感染すると重症化率4.7倍、死亡率8.8倍

2021年の研究では歯周病になっている人と、そうでない人のコロナウイルス感染による重症化率と死亡する可能性について調べられました。その結果は歯周病の人は持ってない人と比べて、4.7倍重症化率が高まり、死亡する可能性は8.8倍も高まることがわかりました。歯周病菌の中には前述した通りアンジオテンシン変換酵素2が多く存在します。いかに歯周病治療が重要かわかりますね。

 

歯周病はいきなりなる病気ではありません。その手前の歯肉炎が悪化すると歯周炎になっていきます。歯肉炎の段階で口腔内をキレイにしておくのがポイントです。

「歯科受診」は「コロナワクチン」と同じくらい重要

現在、各国が検疫、水際対策をしています。その最終ラインはPCR検査や隔離でなく、感染しないよう自分自身の体内防衛ラインをつくり、感染したとしても重症化しないことが重要です。その中でワクチン接種は最も有用な予防法の一つです。歯科受診は、それと匹敵するくらい重要といっても過言でないでしょう。先述の通り、いくらセルフケア(毎日する歯磨き)をキチンとしていてもバクテリアフィルムは復活します。また、歯周病は定期的な処置をしないと必ずと言っていいほど増悪します。

 

2022年1月の時点で、私が調べたところ、歯科治療によるコロナウイルス感染の報告はなく、クラスターも発生していません。また当院では、このコロナ禍でも欠かさずいつもの通り定期検診とクリーニングをされている患者さんが多くおり、その中でコロナウイルスを発症した方は一人もいません。オミクロン株はまだ全容が明らかでありませんが、アンジオテンシン変換酵素2を介して発症するのに変わりありませんので、プロフェッショナルケア(歯科医院での治療)は重要なことに変わりはありません。

 

歯科医院に行き感染するよりも、歯科治療を受けないでウイルス感染やその他の病気を発症するほうが確率としては高く、またQOL(生活の質)の低下にもつながりかねません。

歯科受診を控えている方や、今まで通り通われている方も、歯科医院に行く大切さがお分かりになったかと思います。

 

皆さん、歯科医院には積極的に行きましょう。次回は歯科医からみた良い歯科医院の選び方について述べていきます。

 

 

橋村 威慶

サッカー通りみなみデンタルオフィス 院長

 

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サッカー通りみなみデンタルオフィス 院長 

【経歴】
1998年3月 鹿児島大学歯学部 卒業。
2002年3月 すなまち北歯科クリニック 開設。
2014年2月~2016年3月 東京大学医科学研究所 客員研究員。
2019年5月 サッカー通りみなみデンタルオフィス 開設。
2019年6月 特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員。

【所属学会など】
日本抗加齢医学会 専門医
日本歯周病学会
日本補綴歯科学会
日本アンチエイジング歯科学会

【サッカー通りみなみデンタルオフィスHP:https://www.minamidental-office.com/

著者紹介

医療と社会の間に生じる諸問題をガバナンスという視点から研究し、その成果を社会に発信していく特定非営利活動法人「医療ガバナンス研究所」による学会。「官でない公」を体現する次世代の研究者の育成を目的とし、全国の医療従事者が会員として名を連ねている。

著者紹介

連載医療従事者が本音で語る「日本社会」の現状~GGO For Doctor

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