新型コロナウイルスの感染拡大によって不動産の世界は激変している。景気後退が叫ばれ、先行き不透明感が増すなか、日本経済はどうなるか、不動産はどう動くのかに注目が集まっている。本連載は、多くの現場に立ち会ってきた「不動産のプロ」である牧野知弘氏の著書『不動産激変 コロナが変えた日本社会』(祥伝社新書)より一部を抜粋し、不動産の現状と近未来を明らかにする。

日本の労働生産性が低い原因は働き方

これに対して、冷たい人間関係は日本人には似合わない。会社は運命共同体。職能で働くのは外人部隊。直系のたたき上げを育ててこその組織。そもそもそんな能力のある社員ばかりではない、などという意見もあるでしょう。しかしこの感想こそが、日本をG7の中の労働生産性最下位に貶めている最大の要因であると言ってもよいのです。

 

最近の大企業を中心とした企業CMを眺めていると、多くが会社としての製品を宣伝するとか戦略を訴えるというよりも、ポエム的な内容のものばかりになっていることが気がかりです。世界での激しい競争から引き離され、日本という落ち目になりかかったマーケットの中だけでいくら愛を叫んでも、むなしいものがあります。みんな一緒にがんばろうといった内容も、相変わらず日本人同士がもたれあう絵姿を描いているようにしか見えません。

 

せっかく試してみたテレワークから見えてきた本当の意味での働き方改革は、これまでの企業ブランドに頼り切ってぶら下がる働き方から、アビリティを磨き、これを正当に評価される働き方が主流になっていくことを示しているのです。

 

牧野 知弘
オラガ総研 代表取締役

 

 

 

 

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