出社に及ばず…パソコン片手に街をうろつく「野良リーマン」

新型コロナウイルスの感染拡大によって不動産の世界は激変している。景気後退が叫ばれ、先行き不透明感が増すなか、日本経済はどうなるか、不動産はどう動くのかに注目が集まっている。本連載は、多くの現場に立ち会ってきた「不動産のプロ」である牧野知弘氏の著書『不動産激変 コロナが変えた日本社会』(祥伝社新書)より一部を抜粋し、不動産の現状と近未来を明らかにする。

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会社組織はアナログからデジタルに

社員の多くが職能によって働くようになると、これまでの会社組織にはどのような影響が出てくるでしょうか。

 

日本の多くの会社はピラミッド型の組織を形成しています。新入社員のほとんどは入社後3、4年程度、肩書がありません、いわゆるヒラというやつです。会社によって呼び方は違いますが、その後、リーダーだとか主査などといった若手内でちょこっと上をイメージさせる呼び方となり、さらに係長、課長補佐、課長代理といった管理職一歩手前を想起させるような呼び方になっていきます。

 

テレワークが進み、職能を売りにして報酬をもらう社員が増える。(※写真はイメージです/PIXTA)
テレワークが進み、職能を売りにして報酬をもらう社員が増える。(※写真はイメージです/PIXTA)

 

ここまでは社員個々の能力とは無関係に年齢に応じて肩書がついていくのが、ごく一般的な人事です。そしておおむね課長への昇進時に、選抜が行なわれます。日本の大企業といわれる伝統的な会社組織においては課長に昇進するためには10年から15年程度はかかるのが常識です。課長以降は年齢や会社への貢献度などに応じて次長、部長補佐、部長といったように肩書はどんどん煌やかになります。

 

また多くの会社では、これとは別に職能級のような制度も取り入れています。部長という肩書がなくても「部長相当」の能力があると会社が認めているということです。組織をまとめたり、指示したりしていく能力には物足りないが、仕事を行なう実力、能力はある、と会社側は認めているという理屈です。

 

しかし、実態がどうかと言えば、会社が成長していかないとポストが限られてしまういっぽうで、年齢が進んできた社員たちを一定限度においては遇してあげなければならないという、妥協の産物になっているのが否めないところです。日本の多くの企業では実はこの「職能」というものを、部長や課長といった組織上の役職よりも劣位に見る傾向があるのは、ただ単に社員の人口構成の歪みとポストのないことに対する言い訳に使っているだけだからなのです。

 

こうした組織体系は、大企業という「村」の論理から組み立てられています。村ではみんなが仲良く暮らしていかなければならない。とりわけ村に長く住んでいる民に対しては、まだ年限の短い村民よりたくさんの果実を分け与えてやらなければならない。若い頃は頑張ったから。苦労をしたから。我慢もさせたから。年長者は村の中では尊敬される。現在ではほとんど会社に貢献していなくても高い処遇を与える。実はこうした組織体系や人事制度は、労働生産性という観点からは明らかに非効率です。

 

テレワークが進み、職能を売りにして報酬をもらう社員が主流になる時代に、はたしてこの論理は通用するでしょうか。

 

現代の企業、とりわけ大企業には中間管理職が大勢います。課長とか次長といった肩書の人たちです。テレワークが進む中で、課長は部下の社員たちに対する指導や指示の仕方に悩んだはずです。社員たちはいつものように会社の席には座っていません。ちょっと声をかけてアドバイスするといったことができません。今までは村社会の中で、課長席に座っているだけで一定の存在感が示せたのに、情報通信端末を通して社員たちの面倒を見なければならなくなりました。

オラガ総研 株式会社 代表取締役

1959年、アメリカ生まれ。東京大学経済学部卒。ボストンコンサルティンググループを経て、三井不動産に勤務。2006年、J-REIT(不動産投資信託)の日本コマーシャル投資法人を上場。現在は、オラガ総研株式会社代表取締役としてホテルや不動産のアドバイザリーのほか、市場調査や講演活動を展開。主な著書に『空き家問題』『民泊ビジネス』『業界だけが知っている「家・土地」バブル崩壊』など多数。

著者紹介

連載不動産の動きを観察すれば、日本経済がわかる

不動産で知る日本のこれから

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牧野 知弘

祥伝社新書

極地的な上昇を示す地域がある一方で、地方の地価は下がり続けている。高倍率で瞬時に売れるマンションがある一方で、金を出さねば売れない物件もある。いったい日本はどうなっているのか。 「不動産のプロ」であり、多くの…

業界だけが知っている「家・土地」バブル崩壊

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祥伝社新書

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不動産激変 コロナが変えた日本社会

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祥伝社新書

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