テレワークの社会実験に何を学ぶべきか
でも全国一斉テレワークを行なって数カ月。意外とできちゃった、という声を多く耳にします。最初は機器の扱いに慣れずに無駄な時間を費やす、会議でもお互いの話すタイミングが嚙み合わないなど不都合があったものの人間は慣れてくるもの。今では使いこなす社員が増えてきました。これならなんとかこの非常時を乗り切れそうだと思った経営者もいたことでしょう。
ところが、このテレワーク、コロナ禍における緊急事態限定の働き方では収まらないようなのです。私たちのこれまでの働き方に対する考え方というのは戦後、多くの働き手が事務系ワーカーとなり、会社に通って事務所で仕事をするのがあたりまえになってきたことに基づくものでした。
しかし、人類の働き方の歴史を振り返ってみると、縄文時代の働き手の多くは弓矢を持って狩猟を行なってきましたし、弥生時代以降は田や畑を耕す農民が主力に、産業革命以降は工場労働者が、その中心を担ってきました。
今、あたりまえのように毎朝毎夕、満員の電車に揺られて会社というハコに吸い込まれていく働き手たちの日常についての常識も、不変のものではないはずです。「テレワーク意外にできちゃった」という感想は、おそらく多くの働き手の働き方が新しい時代に相応して次なる変化の時に差し掛かっていることを意味しているのではないでしょうか。
新型コロナウイルスという恐ろしい感染症は多くのかけがえのない命を奪い、世界中の経済をストップさせました。なんとなく2020年は五輪がある。それまではなんとなく景気ももつだろう。多くの日本人が五輪という宴を前にのほほんとしていた、その鼻っ面を思い切りひっぱたかれたというのが今回のコロナ禍です。
しかし、社会の変化は目に見えなくても着実にやってくるもの。同じような組織、業界。成功者がほぼ決まり、新しいことも起こらないそんな変化に乏しいように見える日本社会の中でもやがて時代は変わるのです。
そしてその変化は今回、感染症の蔓延という、まったく夢にも思わぬ形で私たちの眼前に現われてきました。テレワークの社会実験が行なわれた今、日本の企業はこの事態に何を学び、どう変化していかなければならないのでしょうか。そして人々の生活を支える不動産はどうなるのでしょうか。
本連載ではポスト・コロナで生じる生活常識の変化に焦点を当て、日本の不動産が変わることで日本社会構造がどう変わっていくのか、その未来像を探っていきたいと思います。
牧野 知弘
オラガ総研 代表取締役
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