新型コロナウイルスの感染拡大によって景気後退が叫ばれ、先行き不透明感が増すなか、日本経済はどうなるか、不動産はどう動くのかに注目が集まっている。本連載は、多くの現場に立ち会ってきた「不動産のプロ」である牧野知弘氏の著書『業界だけが知っている「家・土地」バブル崩壊』(祥伝社新書)より一部を抜粋し、不動産の現状と近未来を明らかにする。

「マンションがスラム化」は絵空事ではない

さて、問題は後者です。中には不動産価格の急落に狼狽して売り浴びせる投資家も出てきそうです。

 

しかし最も心配なのが、売り時を失した結果、物件を放置することです。興味のなくなったおもちゃは誰もが部屋の片隅に追いやってしまうものです。たとえば、湾岸タワマンを所有はしているが、管理費や修繕維持積立金は支払わない。部屋を大勢の同胞人に使わせて他の住民とのトラブルを招くなど、厄介な出来事が発生する懸念もあります。

 

そうした環境の悪化は他の住民の退去につながり、結果としてマンションが「スラム化」するというシナリオも、あながち絵空事ではないかもしれません。

 

「帰る」ところがないのが日本人投資家です。彼らはどこへも逃げることができません。バブル崩壊で空港から去っていく外国人をただ茫然と眺めている日本人の姿が、再び見られるようになるかもしれません。

 

牧野 知弘
オラガ総研 代表取締役

 

不動産で知る日本のこれから

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業界だけが知っている「家・土地」バブル崩壊

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